【展覧会】PROJECT dnF 第1回 照沼敦朗「惑星の端」作家インタビュー

照沼敦朗 インタビュー

2015年6月4日(木)
ききて:伊藤佳之(福沢一郎記念館非常勤嘱託)

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照沼敦朗(てるぬま・あつろう)
1983年生まれ。2006年、鑓水美術館(多摩美術大学内)にて初個展。学生時代から映像作品を制作。2007年、多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業、福沢一郎賞受賞。同年就職するが翌年退職、作家活動を専らにする。映像と平面・立体作品を融合させたインスタレーションで注目を集める。2010年、アキバタマビ21プレオープン展「A NEW NORMAL」に出品。2011年、「第14回岡本太郎現代美術賞」展に出品、インスタレーション《見えるか?》が特別賞を受賞。同年Gallery Jin Projectにて個展「想定外見聞録」開催。2012年「黄金町バザール2012」に参加。以後個展、グループ展、アート・イン・レジデンスなどで活躍。

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1 アトリエを宇宙に

—- 福沢一郎記念館での新たな試み「PROJECT dnF」の第1回に、照沼敦朗さんが個展を開いてくださいました。展示してみて、手応えはいかがですか。

照沼 けっこういいんじゃないですか。僕は映像とまわりの風景が溶け込むようなインスタレーションを目指して制作していて、今までで一番やりきった感があります。

—- 正直なはなし、福沢一郎賞受賞者のかたの展示を当館で…と呼びかけて、ここまで反応の早い方がいるとは思いませんでした。確かtwitterでメッセージをくださったんですよね。この時期に、ここで!と思ったのはなぜですか。

照沼 いや、たまたま展示がなかったから…まあ僕は何にでも食いつくんで。

—- そうですか? 新宿眼科画廊で昨年の12月に個展(1)があって…。

照沼 ああ、そうですね。そのあと1月に「ごった煮展」(2)があって、取手のレジデンスが2月(3)にあって、その展示を取手でやって(4)、こんどは黄金町で巡回展(5)みたいなかたちでやって。

—- けっこう忙しかったじゃないですか。よくやってくれたなと私などは思うのですが。

照沼 だから、今回は平面は絶対に無理だと思って、まだやっていないから映像主体の展示をやろうという気持ちだったんです。

—- なるほど。今回は3つの映像を主にして、平面は《Toride》の背景になった布の作品だけにして、あとは会場にちりばめられたオブジェとドローイングのみと。現在(展覧会会期中:2015年6月4日)も各所で増殖中ですが。

照沼 増えてますねえ。今キッチンの上に描いてます。なんだか、あそこは野球場のスコアボードみたいに見えるので、そこを埋めようと思って(図1)。



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図1 画像右側、キッチン上のドローイング

—- 埋める気満々ですね。そもそもこういうギャラリー然としてない空間での展示は初めてじゃないですか。

照沼 いや、黄金町バザールのとき(6)は、僕だけホワイトキューブじゃないところでした。僕の展示会場は確か以前は食堂で、ちょっと広くて、木の梁が出ていて。いちおう白くは塗ってあったんですけどね、けっこうかたちが複雑で。そしてそれを窓閉じたり真っ暗にしたり、いろいろやりました。

—- ここに初めていらっしゃった時、つまり展示をやりたいといって来てくださった時、展示のアイデアはすでにあったんですか?

照沼 さっき言ったように、いちおう映像を主にした展示にする予定はあったんですけど、全体的な構想はできていませんでした。取手で作った作品がすでにあったので、今回はそれをベースに抽象的なものをつくろうとは思っていたんですけど、会場のアトリエを見て、ドアや階段がとても面白いと感じたので、ドアに映像を投影しようという考えがすぐ思いつきました。

—- 展示で苦労したことはどんなことでしょう?

照沼 窓(の遮光)ですね。もともとアトリエだった空間ですから、画家は窓からの光を取り入れることを考えてつくるから、どうしても窓が大きいじゃないですか。そこをどうやって塞ごうかと考えました。
塩ビシートで仮の天井を張ってしまおうかとも考えたんですけど、結局外に貼ることになり…。そしてどうせならそこに絵を描いてしまおうと思って、試行錯誤しました。友達にも助けてもらって。あと、階段のところにもプロジェクションマッピングをしようと思ったんですけど、それはあまりに大変なので断念しました。


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—- でも、結果的に整理された感じにはなったんじゃないでしょうか。

照沼 まあ、そうですね。ドアのところだけでもプロジェクションマッピングが出来て、実際にそこを人が行き来するという、現実と映像が重なり合う面白さを実現出来たので、そこは満足しています。
それから、床にラインをひいて、プロジェクターの投影の邪魔にならないように人を誘導してるんですけど、これは小学校の屋上にあった自転車の練習場がもとになっていて、宇宙みたいな空間にこんな通路があったら面白いかな、と。

—- けっこういろいろやっていただきましたが、さて、今回の展覧会のタイトルが「惑星の端」ということで、真っ暗、真っ黒な宇宙空間をこのアトリエ内につくってしまったわけですね。色々なものが壁や床にいますね。宇宙なのに魚が飛んでいたり、キノコ星人みたいなのがいたり…(図2,3)。


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図2 画像左側、壁に貼り付けられているオブジェ

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図3 キノコ星人?

照沼 キノコ星人じゃないですよ!パラグライダーで降りてくる人です。

—- パラグライダー!? 宇宙なのに?

照沼 そうです。これは友達の作品から感化されて作ってみたんです。宇宙服を着てパラグライダーで降りてくるという。
で、魚はというと、これは深海魚をイメージしています。光の届かないところで生きている深海魚って、眼が退化していて見えない。暗黒の世界っていうことでいえば、宇宙も深海も似たようなもの、というか、宇宙にもこんな生物がいてもおかしくないかなと思って。で、宇宙船もあるんですけど、そのかたちも結局は魚みたいなものになるんじゃないかなと。だいたい機械ってのは動物のかたちから学んだりしてますからね。まあ、そんな僕の想像の産物です。


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図4 メインスクリーン 投影されているのは《Life》


2 出品作について

—- そんなファンタジーが詰まった宇宙空間で、今回は3方向への映像投影に挑戦しましたね。これまでは複数の映像を同時に投影というインスタレーションは?

照沼 いえ、今回が初めてです。今まではたいていひとつのスクリーンやディスプレイでやってましたから。やっぱり映像をメインに作家活動しているからには、このくらいのことをやってみたいとは常々思っていました。だいたいうまくいったと思っています。

—- メインスクリーンには3つの映像作品が順番に映し出されていますね(図4)。

照沼 まず《終わりのない初まりの夢》(図5)は、昨年作ったものです。冒頭に出て来ることばがテーマそのもので、「OUROBOROS(ウロボロス)」、つまり終わりもはじまりもない、ぐるぐると流転する世界という意味です。僕の分身ともいえる、片目にレンズをつけたキャラクター「ミエテルノゾム君」(7)が街を旅していきます。ほんとうは原発事故のことを表現したかったのですが、直接的に表現するのはいやで、重力がこわれて空から雲が落ちてきて街が破壊され、そして再生されていくという設定にしました。


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図5 《終わりのない初まりの夢》より 2014年 映像 3分35秒

—- 背景の都市の画像は、平面作品を使っているのですか。

照沼 はい、前の年の個展(8)で描いた絵を撮影して使っています。鉛筆でダーッと長く描いて。A3横サイズで縦3枚、横14枚くらいかな。

—- 画材は何を?

照沼 これは鉛筆ですね。鉛筆は描くのが早いし、細かく描けるのでよく使います。鉛筆って色が薄いじゃないですか。だから作品作って売るとなるとなかなかツラいので…ドローイングの扱いになっちゃいますよね。でも一番愛着があります。長く使っているので。

—- 《終わりのない初まりの夢》に続いて投影される今年制作の映像作品ふたつは、より抽象的なかたちが多く使われたり、色も今までの使われ方とは違ってきているように思えます。

照沼 そうですね。このふたつは実写を取り入れています。《Toride》(図6)は、取手でのレジデンスで2週間くらいで制作した映像なんですけど、利根川のほとりに「小堀の渡し(おおほりのわたし)」というのがありまして、昔、隣町とを繋ぐ住民の足として通勤・通学や、日常生活に使われてたそうです。今は観光船として運行してて、それを撮影して、船の動きとか人の動きをトリミングしたり加工したりして作品に使っています。
あと最近、過疎化が話題になっていまして、それと船の車内アナウンスで聞いた利根川でのイベント紹介で、「子供天国」というフレーズが耳に残り、それは、なんぞや?と想像して、だから作品では、子供の形がもやもやと出て来て、色と遊んで街が、だんだんと明るくなってくような抽象的なイメージで作った作品なんです。


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図6 《Toride》より 2015年 映像 2分8秒


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図7 画像上辺、階段上の平面作品

—- 《Toride》の背景には、階段上に掛けられている絵が使われているんですよね(図7)。これは布に…。

照沼 ペンキで描いてます。ペンキもよく使うんですが、卒業制作のときに使ったのが初めてです。ライヴペインティングをやろうってなったときに…僕、なんでも思いつきで、その時になって使うんで。

—- そして次の《Life》(図8)では、過去の作品と《Toride》のイメージが重なっているような感じですね。


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図8 《Life》より 2015年 映像 2分5秒

照沼 これは、冒頭で《Toride》の映像にも出て来た渡し船が宇宙に飛んで行くところからはじまるんですけど、「生活」がテーマになっています。宇宙にこんな都市が造られても、結局人間のすることはそんなに変わらないだろうと。自然を壊して戦争して政治もごたごたあって、でもそんなことおかまいなしに楽しいことして、っていう、僕の予想というか考えで…まあそんな自虐的なことばが出てきます。
で、今回は詩を英語にしてみたんですが、映像のなかでは字幕みたいな感覚で、ネオンサイン風に日本語の文字を出して、読んでもらえるようにしています。

—- カラフルな人物が映像にたくさん登場しますね。

照沼 ここでは、著作権の切れている昔の映画のシーンを切り取って加工して使っています。

—- なるほど。やはり《Toride》は象徴的ですね。実写を加工・合成して取り入れることで抽象的なイメージが強くなっていて、色の使い方も変わってくる。このレジデンスでの成果が次の《Life》に、技法的にもつながっていると。

照沼 はい。

—- そういえば、照沼さんのメインキャラクター「ミエテルノゾム君」の現れ方が、新作では少し変わっているように思えます。《終わりのない初まりの夢》ではメインキャラとして登場しますが、《Life》では、サブキャラのような役割を演じていますね。

照沼 ああ、最後にちょこっと出てくるやつ。あれは、2013年に作った木箱の作品(9)を背景に使っているので、そこにいるんです。木箱の一連の作品は、ミエテルノゾム君が必ずどこかにいるというものだったんで。

—- かわりに、《Toride》に出てくる、ぼんやりした子供のイメージが…。

照沼 はい、《Life》にも、《惑星の端》(図9)と《不器用な矢は飛び続ける》(図10)にも、かたちを変えてそのまま反映されています。


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図9 《惑星の端》 2015年 映像 1分


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図10 《不器用な矢は飛び続ける》より 2015年 映像 2分

—- 抽象的な、生命そのものを表現しているようにも思えますが、この子供も、やっぱり自分の分身みたいな意味合いはあるんですかね。

照沼 まあ、そうですね。今回はあまり眼のことに関する話じゃなかったんで、ミエテルノゾム君がメインというかたちにはしたくなかったんです。ただ、新しいキャラクターを生み出そうとしたんですけど、うまくいかなくて、抽象的な存在になりました。キャラが前に出るとどうもよくないような気もして…最近(ゆるキャラなどの)かぶり物が多いじゃないですか。別にそれに乗っかるつもりもないので(笑)。

—- 《惑星の端》に出て来る子供のキャラクターは、他のよりも比較的具体的なメッセージを背負って出て来ますね。

照沼 あの子供は、ビッグバンで出来た惑星の種みたいなものをイメージしています。そのまわりの世界、つまり惑星の端は、やっぱり宇宙だということで、展示空間を宇宙にしてしまったわけです。まあ惑星は球体なので、どこが端かよく判らないという見方もできて…。いかにもあいまいなものですね、「端」って。

—- そもそも今回、惑星だったり宇宙だったりというテーマがあらわれてきたのは、なぜなんですか?

照沼 ええと、僕が30歳になったときに、《人生の縮図》(9)という作品をつくったんです。そのあと「夢」、そしてこんどは「Life」と、なんだかテーマがどんどん大きなものになっていって、まあ最終的には宇宙くらい大きくてもいいかなと。

—- 30歳でそんな節目を感じてしまったんですか。

照沼 はい(笑)。


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3 制作のエッセンス

—- 今回、制作のようすを拝見していて、絵画を制作すること自体へのこだわりは、ものすごくあるように感じるのですが、自分の作品を残そうという意識は、どうでしょう。

照沼 いや残したいけど、残らないですね(笑)。アキバタマビのとき(10)も24m描いたけど(図11)、結局残らないです。3×6のコンパネ何枚も、保存場所に困りますから。


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図11 「A NEW NORMAL」展示室外の廊下、照沼敦朗作画の壁画 2010年 アキバタマビ21(アーツ千代田)にて

—- なんだかもったいないような気も…。さて、どうも造形とか映像のことばかり聞いてしまいますが、映像に乗せて放たれる音楽と詩もやはり大事な表現の要素ですよね。作曲の機材はどんなものを?

照沼 作曲に関しては、Macのソフトや関連機材でやってます。特別なものはなくて…まあ単純なものが一番使いやすいので。僕は機械オンチだから(笑)。

—- えー。映像やってる人なのに。音楽づくりはいつ頃から始めたんですか。

照沼 音楽は、大学で映像を作り始めてからですね。2年生くらいかな。最初はピアノを生録音して使ってました。

—- もともと音楽やってたんですよね。小・中学の時は吹奏楽部だったとか。だから音楽のベースみたいなものはすでにあったと。

照沼 ええ、まあ。

—- 作品づくりの過程で、詩と音楽はどんな関係になっているんですか。

照沼 まず詩が絶対先にあって、音楽はそれに合わせて、暗いとか明るいとか、雰囲気をつけていくものみたいな感じですね。

—- 音楽は世界観を表すために作り込んでいくものだと。

照沼 そうです。


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—- わりと気に入っている音って、決まってきませんか。

照沼 重厚な音が好きなので、電子音とかパイプオルガンとか…。ほんとうはオーケストラを使いたい。なかなか明るい音にならないんですよね。

—- で、詩なんですが、照沼さんの作品はやはりことばがとても大事な役割を果たしていると思います。単なるつぶやきのようでもあり、シニカルなメッセージのようでもあり。とらえ方によってずいぶん印象の変わることばたちだと思います。そういうところもやはり自分らしさとして持っておきたいところでしょうか。

照沼 そうですね。もともと小さい頃から詩を書いたり、ずっと日記を書いたりしていたので。作品を作るときは、最初はキャッチフレーズというか、ことばを色々書き出して、そこから詩を作って、音楽ができて、そこに映像を作り込むという制作方法をとることが多いです。でも《終わりのない初まりの夢》みたいに、まず背景の平面作品があって、そこから詩を書いて、そして音楽、という場合もあります。

—- そうそう、音楽とともに聞こえる詩の声は、ご自分の声ですか。

照沼 そうです。機械を通してエフェクトをかけて。なにしろ絵も描くし詩も書くし音楽も作るしで、何でもひとりでやらなきゃいけないから大変です。

—- 山下裕二さん曰く「自画・自刻・自摺」の作家ということですね(11)

はい(笑)。


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4 これからの照沼ワールド

—- 照沼さんの映像作品を学生時代からみていくと、造形のスタンスは、初期のクレイアニメを取り入れたものから、徐々に平面へ、つまり絵画や実写の画像、ディスプレイ上の表現へと変化しているようにみえます。この変化はわりと自然におこっていったのでしょうか。

照沼 まあ、そうですね。意識したことはないです。

—- またクレイアニメみたいなことをやってみたいと思います?

照沼 どうですかねえ。次のプロジェクトが、壁に絵を描いてそれをもとに映像を構成するみたいなことなんで、またペンキで描くのかなあ。最近はやはり絵画を映像に撮って合成するというやりかたが増えているように思います。

—- 新作では実写を取り入れましたが、ほんとうは手描きにこだわりたいところもある?

照沼 はい。出来ることならアナログでやりたい。デジタルにはあまり頼りたくないです。手で描いたほうが愛情がわくというか。まあ限られた時間でどうやるかも常に考えてやらないと…。

—- それから、今回の出品作《終わりのない初まりの夢》みたいな、社会的な問題をテーマにした作品づくりというのは、ずっと意識してこられたことでしょうか。

照沼 そうですね。ニュースで見た事件とか、社会問題みたいなことはけっこう作品に入れ込んでいます。一番強烈だったのは《デスドミノ》(2005年)かな。《キロウサギ》(2008-9年)は、イギリスのニュースで、高速道路で横転したトラックから逃げ出したウサギの話があったんですけど、それをウサギ目線で人間の行動をシニカルに捉えるというようなものもつくってます。

—- やっぱり、正面きってメッセージを訴えるのではなく、ちょっと斜に構えて、ぼそぼそとつぶやくような…。

照沼 そうですね。ちょっと気付けよ、見りゃわかるだろ、みたいな。


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—- そんな照沼さんが、今後取り組みたいテーマは、何かありますか?

照沼 テーマねえ…。「Life」の次は、幸福かなあ。ああ、なんだか危ない方向に…(笑)。

—- そうそう、先日、多摩美術大学美術館の小林宏道さんがギャラリートークにいらしていて、「惑星の端」っていうタイトルがいい!とおっしゃっていました。

照沼 え〜、けっこう自虐な気がするけど…。

—- つまり「端」というのは、中心に対する周縁というよりは、別の世界とつねに接する、実体のない皮膜のようなものだと。

照沼 ああ。まあ今回のインスタレーションでは、外の世界に通じるドアもありますしね。

—- で、その皮膜がスクリーンそのものなんだと。照沼君はそこまで考えている。まさに映像作品のテーマにふさわしい!とのことでした。

照沼 ははああ、すごいなあ、そこまで考えてもらったなんて(笑)。いいなあそれ。

—- さて、直近の展示では、アキバタマビ21での映像作品展示(アキバタマビ映像特別展(仮) 7/25-9/6)がありますね。

照沼 はい、そこでは《終わりのない初まりの夢》を出品する予定です。出品作家が31人もいるんですが、多摩美術大学の70周年を記念して開催される展覧会です。

—- その後は?

照沼 9月に取手アートプロジェクトの仕事で、取手駅前のロータリーに映像を写すっていうのをやることになってるんです。それもレジデンスで新作を作る予定です。

—- もりだくさんじゃないですか。

照沼 まあ…(笑)

—- 例えば、まだ実現していないけれど、今後やってみたい、チャレンジしてみたいことはありますか?

照沼 そうですねえ…舞台をやってみたいです。

—- 舞台!?

照沼 はい。現代劇みたいなものを。僕がシナリオを書いてつくって、いろんな人が踊ったり演じたり。で、背景を僕が描くというのを、機会があればやってみたいですね。

・いっそ主役もどうですか。「自画・自刻・自摺・自演」で。

照沼 いやそこまでは(笑)。


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惑星の端

私は塊(つちくれ)
生物や動物を宿す惑星になれるか
ただ毒素を吐くことしか出来ない惑星になるのか
私という塊は得体の知れない固まり
私の生まれたキッカケが
運命とか必然偶然の確率の問題より
私の上で成り立つ生命の物語を
この目で見てみたい
私が産まれたきっかけを話せる時
それは君達が私のことを見つけた時
私は輝いて見えるだけの惑星でない事を
その目で足で確かめに来てほしい

—-映像作品《惑星の端》2015年 より—-

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近年、「ミエテルノゾム君」という作家の分身ともいうべきキャラクターが雑踏のなかを闊歩するという、スタイルのはっきりした作品づくりが目立った照沼は、今回あえてそこから離れることにしたようだ。彼は福沢一郎のアトリエに、新作の映像ばかりでなく、わき上がるさまざまなアイデアをこれでもかと詰め込んだ。結果、会場全体が彼なりの「宇宙」というファンタジーで満たされ、アトリエ然とした内観はほとんど姿を消してしまった。薄暗い展示空間は、彼を衝き動かしてきた「視覚」への根本的な問いかけを彷彿とさせつつも、膨張し拡散していく作家の新たな「宇宙」を感じさせるものとなった。
屈託のない笑顔が印象的な作家は、シャイなわりに、何事にも臆せずトライする肝っ玉の持ち主である。福沢一郎という美術史上の存在、そしてクセのあるアトリエという空間にまったくひるむことなく、自分自身のやりたいことをやりきるというある種の見本を、彼は示してくれた。これは後に続くであろう多くの作家たちにとって、大きな励みとなるに違いない。
さて、照沼の今後の活動はどのように展開していくだろう。再び「ミエテルノゾム君」となって、見えそうで見えない雑踏の中へ分け入っていくだろうか。それとも、新たな宇宙を開拓するため、深海魚のすがたをした宇宙船で未知の世界へ旅立っていくだろうか。いずれにせよ、今回の展示が、彼にとってひとつのステップとなり、次の実りを準備してくれるなら、それが何よりと思う。(伊藤佳之)

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インスタレーションの360°パノラマビューは以下のリンクから↓
http://photosynth.net/view/2b6c6b4c-e231-4e8e-ab58-2f0484ada39e


1 照沼敦朗個展「夢の歩き方」@新宿眼科画廊、2014年12月12日〜17日。
2 「ごった煮」展@新宿眼科画廊、2015年1月23日〜28日。参加アーティスト:清水大 / 内田佳那 / カトコト / 照沼敦朗 /BUNNY BISSOUX / ene / カミクボユウスケ / ササベ翔太 / タカハシユリ / もり いちか / 平井さぶ / 依田梓 / 羽多野加与 / 河原奈苗 / 久保萌菜 / 宮田瑞稀 / 三ツ井優香 / 山田裕介 / 若杉真魅 / 松丸陽子 / 舛屋早矢香 / 前田祐作 / 村田エリー
3 黄金町夏の陣実行委員会《黄金町vs拝借景 夏の陣》@黄金町高架下スペース(横浜市)+拝借景(取手市)、2014年8月1日〜11月3日。会期中を3期に分け、観覧者の投票で黄金町と拝借景双方のアーティストの勝敗を決める。負けた側は買った側の要求をのまなくてはならない。結果は拝借景の勝利となり、参加作家が期間限定で黄金町と拝借景のレジデンススペースを交換することとなった。照沼は黄金町側のアーティストとして2月に拝借景に滞在し、作品制作をおこなった。
4 「拝借景×黄金町交流展2015(仮)」@コンフリ(取手市)、2015年3月5日〜21日、参加アーティスト:杉山孝貴 / 照沼敦朗 / 山田裕介 / 吉本伊織
5 「拝借景×黄金町交流展2015(仮)」@八番館(横浜市)、2015年3月29日〜4月5日、参加アーティスト:阿部乳坊 / 市川ヂュン / 荻原貴裕 / 葛谷允宏 / 杉山孝貴 / 照沼敦朗 / 山田裕介 / 吉本伊織
6 「黄金町バザール2012」@横浜市初黄・日ノ出町地区各所、2012年10月19日〜12月16日。照沼の展示は「八番館」にて開催。
7 「ミエテルノゾム君」は、照沼が大学生のときに作品制作を通じて生み出したキャラクター。片方の目に複数のレンズのついた単眼鏡をはめている。作家自身が弱視であることから、世界の見え方が他人と違うことや、遠くでぼんやりと見えていたものが近づいてみると全く予想と違ったものだったことなどの体験をふまえ、「全てが見えることを望む」という作家の願いや、そこから生まれる世界観のズレなどを体現する存在である。
8 照沼敦朗ー破壊と再生 オムニバスー展@Gallery Jin Project(アーツ千代田3331内)、2013 年10月4日~20日。
9 《World in microcosm II》2012年、映像、3分35秒、DVD『人生の縮図 World in microcosm I&II』所載。
10 アキバタマビ21 プレ・オープン展 「A NEW NORMAL」@アキバタマビ21(アーツ千代田3331内)、2010年5月8日〜6月6日。照沼はこのとき、展示室外の廊下の壁に、長さ24mにわたる長大な壁画を描いた。
11 山下裕二「vol.91・92 照沼敦朗『自画・自刻・自摺』のアニメーション(上・下)」〈山下裕二の今月の隠し球〉、『美術の窓』第346・347号、2012年6・7月。

※ 図番号のない画像は、すべて会場風景および外観

メールマガジン第8号(2015年5月18日発行)

=======================================2015/05/18
================================================
福沢一郎記念館 メールマガジン No.8
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
– Setagaya,Tokyo
================================================
□■□  現在当館は、閉館中です  □■□
■□■ 次の開館は5月末の予定です ■□■

[1] 「PROJECT dnF」第1回 照沼敦朗「惑星の端」 
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(8)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 2015年春の展示
 「PROJECT dnF -「福沢一郎賞」受賞作家展-」
  第1回 照沼敦朗「惑星の端」
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歴代の「福沢一郎賞」受賞者に記念館のギャラリーを個展会場
として提供する試み「PROJECT dnF」がはじまります。
この春は、照沼敦朗(2007年受賞)と室井麻未(2014年受賞)
のふたりが展示をおこないます。今号では照沼敦朗(てるぬま
・あつろう)をご紹介しましょう。

照沼敦朗は多摩美術大学油画専攻の卒業生ですが、在学中から
平面作品よりもアニメーションの制作に力を入れてきました。
2008年から本格的に作家活動を開始、ギャラリーでの個展や
グループ展のほか、映像作品のコンペティションにも積極的に
参加してきました。2011年、「第14回岡本太郎現代美術賞」展
で、映像を取り入れたインスタレーション「見えるか?」が特
別賞を受賞します。
照沼の映像作品は、モノクロームを基調として、都市の雑踏の
なかをキャラクターが旅するような趣向でつくられてきました。
そこには巨大な構造物としての都市と、そのなかでうごめく人
間の存在が、「視覚」の問題を中心にえがかれます。視覚で捉
えられる世界とその裏側にあるさまざまな問題を、時にはあか
らさまに、時にはひそやかに、うねるようなタッチを活かした
映像で表現しています。
今回、照沼は3つの映像に平面作品を組み合わせたインスタレー
ションを制作します。特に映像は、これまで前面に出ることの
少なかった鮮やかな色彩が、造形表現の大きなポイントなって
います。
福沢一郎のアトリエで、作家の意欲的な試みはどんなすがたを
あらわすのでしょうか。ぜひご覧ください。

「PROJECT dnF -「福沢一郎賞」受賞作家展-」
第1回 照沼敦朗「惑星の端」の開催予定は以下のとおり。

5月28日(木) – 6月10日(水) 11:00 – 17:00 無休
オープニングレセプション 5月30日(土)17:00 – 19:00
ギャラリートーク 5月31日(日)14:00 – 15:00

作家の公式ホームページはこちら。
http://www.terunuma-atsuro.com/

室井麻未(むろい・まみ)のご紹介は次号にて。乞うご期待。
記念館ホームページで展覧会の日程等をご覧になれます。
https://fukuzmm.wordpress.com/2015/04/28/dnf_1terunuma_2muroi/

※福沢一郎作品も、奥の部屋に展示いたします。こちらもぜひ
お楽しみください。

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《アニョロ・ブルネレスキを襲う蛇》 1974年
 アクリル・カンヴァス 227.3×181.8cm
 群馬県立近代美術館蔵

「六本足の蛇が一匹彼らの前に飛び出すやいなや、三人の亡者
の一人アニエルの身体に前からぴったりと張りついた。(中略)
そして、見ているうちに、まるで熱せられた蝋のように両者は
密着し、両方の色もまじり合い、両者とも以前とはまったく別
のものになってしまった。(中略)それは蛇のようでもあり、
また人間のようでもあったが、同時にどちらでもないような奇
怪な像をもっていたが、やがてゆっくりと歩き去った。」

ダンテ『神曲物語 上巻』(野上素一訳、現代教養文庫、社会
思想社、1968)の一場面です。盗人が堕ちる地獄でダンテが出
会ったのは、名門の出ながらフィレンツェの街で盗みをはたら
いていた者達でした。この地獄では蛇に噛みつかれた者が蛇に
姿を変え、噛みついた側は人の姿に戻るという悪夢のような業
苦が永遠に続くのです(第二十五曲)。
蛇が人にからみつき、変容していくこのすさまじいシーンを、
福沢はそれ空虚な風景のなかに大きく描き出しています。背景
にみえる大きな壁のような物体は、まるでロダン《地獄の門》
の裏側のようにもみえます。
蛇と人とが溶け合ってひとつになる直前のワンシーンを描くた
めに、福沢は医学書の類から骨格図や筋肉の構造図を引用した
のではないかと考えられています。『解剖学及び外科学著作集』
(原題Opera Omnia Anatomica&Chirurgica, 1725年刊、
オランダ)所載の図版(fig.597)には、本作品とほとんど同
じポーズの人体図があります。また、同じシーンを描いた《蛇
となるアニョロ》(1974年、同館蔵)も、『人体の構造』(原
題De humani corporis fabrica, 1543年刊、バーゼル)
所載の骨格図(p.190)とほぼ同じポーズで描かれています。
造形化が非常に難しい奇想天外なシーンを描くのに、画家が近
世の解剖図を引用したのは、溶けてからみあう肉体の構造から
イメージを広げようとしたのでしょうか。それとも、解剖図が
もともと持っている「死」という寓意的な側面に興味をそそら
れたのでしょうか。
背景の「地獄の門」らしきかたちも含め、いろいろ考えさせら
れる作品です。

本作品は、群馬県立近代美術館のコレクション展示「福沢一郎
ー物語を描くー」にて展示中、6/21まで開催。
展示作品目録(PDF)もダウンロード可能です。

トップページ

作品画像は、当館ホームページの「作品集」から。
https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(8)
 
本間正義『随想 ハイトマルスベル』 形象社 1989年

著者の本間正義(1916-2001)は、福沢一郎とゆかりの深い
美術館人のひとりです。東京帝国大学在学中には福沢の絵画研
究所に通い、作画の指導を受けました。戦後は東京国立近代美
術館で学芸員として活躍し、国立国際美術館館長、埼玉県立近
代美術館館長を歴任しました。
この随想集は、『毎日夫人』という月刊誌の連載「芸術随想」
の原稿を中心にまとめられており、著者の美術館人としての見
識の深さや人脈の広さだけでなく、ピリリと効いたウィットと
柔軟な文章力がいかんなく発揮された好著です。
もちろん福沢一郎についての記述もあり、研究所で絵を学んで
いるとき、白皙のプロフェッサーのような「アポロ的」な風貌
と、理屈からはみ出たロマンを求める「ディオニソス的」思考
の両方をみたと述べています。この福沢に対する著者の印象は
後々まで変わることがありませんでした。
さて、この随想集のタイトル「ハイトマルスベル」とは何か。
これはある連載原稿のタイトルで、何やら格調高いドイツ語の
単語のようにも思えますが、実は「昔はやった疑似外語」、つ
まり外国語のように聞こえる駄洒落のようなもので、ハエがと
まれないほどつるつるの禿頭を指すのだそうです。著者自身の
いわば自虐ネタなのですが、ともすれば固い調子になりがちな
連載が、「ハイトマルスベル」執筆後は自由でソフトなものへ
と変わっててきたそうです。
この随想集を献呈された福沢は、どんな面持ちで読んだことで
しょう。かつての生徒のテストを採点するかのように、アポロ
的な理知をもって挑んだでしょうか。それとも、そのウィット
にディオニソス的な笑みを浮かべていたでしょうか。どちらも
福沢らしいような気がします。やはり著者の眼は、福沢一郎の
本質を見抜いていたのでしょうね。

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.8
2015年5月18日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

【ホームページを移転しました】


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Copyright(c) 2014-2015 FUKUZAWA ICHIRO MEMORIAL FOUNDATION
All Rights Reserved.

※バックナンバーは記念館ホームページでご覧いただけます。
※配信停止を希望される場合はそのままご返送ください。
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【展覧会】「PROJECT dnF」第1回 照沼敦朗「惑星の端」、第2回 室井麻未「ある景色」




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福沢一郎記念美術財団では、1995年から毎年、福沢一郎とゆかりの深い多摩美術大学油画専攻卒業生と女子美術大学大学院洋画専攻修了生の成績優秀者に、「福沢一郎賞」をお贈りしています。
この賞が20回めを迎える2015年、当館では新たな試みとして、「PROJECT dnF ー「福沢一郎賞」受賞作家展ー」をはじめます。
これは、「福沢一郎賞」の歴代受賞者の方々に、記念館のギャラリーを個展会場としてご提供し、情報発信拠点のひとつとして当館を活用いただくことで、活動を応援するものです。

福沢一郎は昭和初期から前衛絵画の旗手として活躍し、さまざまな表現や手法に挑戦して、新たな絵画の可能性を追求してきました。またつねに諧謔の精神をもって時代、社会、そして人間をみつめ、その鋭い視線は初期から晩年にいたるまで一貫して作品のなかにあらわれています。
こうした「新たな絵画表現の追究」「時代・社会・人間への視線」は、現代の美術においても大きな課題といえます。こうした課題に真摯に取り組む作家たちに受け継がれてゆく福沢一郎の精神を、DNA(遺伝子)になぞらえて、当館の新たな試みを「PROJECT dnF」と名付けました。
今回は、ふたりの作家が展示をおこないます。学生時代から映像表現に取り組み、平面や立体の作品とあわせてモノクロームの雑踏を思わせるインスタレーションをおこなってきた照沼敦朗(多摩美術大学卒、2007年受賞)と、ゆるやかに解きほぐされたような形態を、鮮やかな色彩によって重層的に描く室井麻未(女子美術大学大学院修了、2014年受賞)です。
かれらは福沢一郎のアトリエとで、どのような世界をつくりあげるのでしょうか。

なお、アトリエ奥の部屋にて、福沢一郎の作品・資料もご覧いただけます。今回は1950〜80年代の珍しい小品5点と、福沢愛用のカメラや書籍資料を展示しております。


第1回
照沼敦朗「惑星の端」

これまで、モノクロームを基調とした都市の雑踏をキャラクターが闊歩する映像や平面作品を多く手がけてきた照沼は、今回、より抽象的なイメージと鮮やかな色彩を取り入れた映像作品を発表します。この映像とドローイング、ペインティングによるインスタレーションが、福沢一郎のアトリエ内に繰り広げられます。

作家公式ホームページ http://www.terunuma-atsuro.com/

5月28日(木)- 6月10日(水) 11:00 – 17:00
会期中無休
オープニングレセプション 5月30日(土) 17:00 – 19:00
ギャラリートーク 5月31日(日) 14:00 – 15:00

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照沼敦朗 《Life》  2015年 映像 2分5秒


第2回
室井麻未「ある景色」

視覚で捉えられる世界と、そのあいだ、そのむこうにある世界。室井は両者のはざまを揺れ動きながら、その揺れ幅を塗り込めるように、ゆるやかな「絵画」のありようを探りつつ制作します。今回は新作を中心に、近年の探究の成果を発表します。

6月15日(月)- 28日(日) 11:00 – 17:00
会期中無休
オープニングレセプション 6月20日(土) 17:00 – 19:00
ギャラリートーク 6月21日(日) 14:00 – 15:00

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室井麻未 《船》 2015 年 油彩・キャンバス 259.0×194.0cm



メールマガジン第7号(2015年4月16日発行)

=======================================2015/04/16
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福沢一郎記念館 メールマガジン No.7
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
– Setagaya,Tokyo
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□■□  現在当館は、閉館中です  □■□
■□■ 次の開館は5月末の予定です ■□■

[1] 「PROJECT dnF -福沢一郎賞作家-」 
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(7)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 2015年春の展示
 「PROJECT dnF -福沢一郎賞作家-」
  ー21年めのあらたな試み
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前号で予告しておりました、今年春からはじまる当館でのあら
たな試みについて、お知らせいたします。

福沢一郎記念美術財団では、1995年から毎年、福沢一郎とゆか
りの深い多摩美術大学油画専攻卒業生と女子美術大学大学院洋
画専攻修了生の成績優秀者に、「福沢一郎賞」をお贈りしてい
ます。
この賞が20回めを迎える2015年、当館では新たな試みとして、
「project dnF ー福沢一郎賞の作家たち」をはじめます。
これは、「福沢一郎賞」の歴代受賞者の方々に、記念館のギャ
ラリーを個展会場としてご提供し、情報発信拠点のひとつとし
て当館を活用いただくことで、活動を応援するものです。

福沢一郎は昭和初期から前衛絵画の旗手として活躍し、さまざ
まな表現や手法に挑戦して、新たな絵画の可能性を追求してき
ました。またつねに諧謔の精神をもって時代、社会、そして人
間をみつめ、その鋭い視線は初期から晩年にいたるまで一貫し
て作品のなかにあらわれています。
こうした「新たな絵画表現の追究」「時代・社会・人間への視
線」は、現代の美術においても大きな課題といえます。こうし
た課題に真摯に取り組む作家たちに受け継がれてゆく福沢一郎
の精神を、DNA(遺伝子)になぞらえて、当館の新たな試み
を「PROJECT dnF」と名付けました。
今回は、ふたりの作家が展示をおこないます。学生時代から映
像表現に取り組み、平面や立体の作品とあわせてモノクローム
の雑踏を思わせるインスタレーションをおこなってきた照沼敦
朗(多摩美術大学卒、2007年受賞)と、ゆるやかに解きほぐさ
れたような形態を、鮮やかな色彩によって重層的に描く室井麻
未(女子美術大学大学院修了、2014年受賞)です。
かれらは福沢一郎のアトリエとで、どのような世界をつくりあ
げるのでしょうか。

おふたりの展覧会については、当館ホームページ内で詳しい内
容やイベントの日程等をお知らせいたします。
どうぞご期待ください!

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《父と子》 1937年 油彩・カンヴァス
 28×20cm 板橋区立美術館蔵

グレーを基調にした空間に、男性と思しき人物が、小さな子供
を肩車して立っています。光源は背中のほうにあり、顔は逆光
のため暗い蔭が落ちてよく見えません。子供は無邪気に男の頭
にしがみついていますが、男のほうはややうつむき加減で、動
きを感じさせないポーズです。その右足の奥には、毬のような
丸いものが転がっています。《父と子》という温かな雰囲気の
題名とはうらはらに、やや寂しげな、空虚な印象を受けます。
この作品が描かれた1937年は、盧溝橋事件により日中戦争が勃
発し、日本が大規模な戦争へと突き進むことが決定的となった
年です。こののち徴兵によって多くの若者が戦地に赴くことに
なりますが、市井の雰囲気はさほど切迫感がなく、戦争を推し
進める政治にも肯定的な論調が多数を占めていました。
無邪気に遊ぶ子供を肩に乗せ、空虚な室内でうつむく男は、こ
の年2歳になる長男の将来への不安を敏感に感じていた福沢自
身のすがたではないでしょうか。戦勝ムードに占められた世相
を冷ややかに見つめ、いいしれぬ不安に対峙していた画家の視
線がうかがえる作品です。

本作品は板橋区立美術館の館蔵品展「近代日本の社会と絵画
戦争の表象」にて展示中、6/7まで開催。

作品画像は、当館ホームページの「作品集」から。

https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(7)
 
Leonardo da Vinci, Il codice Atlantico
(レオナルド・ダ・ヴィンチ『アトランティコ手稿』)
 原本1478〜1518年、刊行1974年、ファクシミリ版
 Giunti-Barbèra、フィレンツェ

「万能の天才」レオナルド・ダ・ヴィンチは、絵画、彫刻から
デザイン、解剖学や工学に至る幅広い仕事のために、膨大な数
のノートを書き遺しました。約40年にわたり書かれたノートの
枚数はおよそ15,000枚に及ぶといわれ、現在はその2/3がいく
つかの手稿集に分かれて編集され、今に伝わっています。
福沢の蔵書にある『アトランティコ手稿』は、これらの中でも
特に分野が多岐にわたることで知られています。原本はミラノ
のアンブロジーナ図書館に所蔵されており、研究者向けにファ
クシミリ版が刊行されたものを、福沢はわざわざ入手しました。
全12巻にわたる、とても大きくて重い書物です。
これは80年代初めの、レオナルドへのオマージュともいうべき
連作のために入手したもののようです。このファクシミリ版は
原本の再現が非常に忠実になされていて、ちょっとしたメモ書
きのような箇所であっても、きちんと裏も表も複写されていま
す。この手稿を当館で丹念に調査なさった山形大学教授の小林
俊介さんは、人の顔に図形のメモが裏写りしたり、レオナルド
の弟子サライが脇から描き足したようなものまで、福沢が作品
のなかに引用しているのを見つけました。80年代の「レオナル
ド連作」は、書物から着想を得るだけでなくそこに諧謔や諷刺
まで見出して自らの作品に取り込んでしまう「教養とユーモア
の凝縮されたシリーズ」であると、小林さんは語っています。
才気に富み多くの傑作を生み出しながら、かたやとんでもない
失敗もやらかしてしまうレオナルドに、福沢は敬意と愛着を覚
えていました。そのあゆみを追求した結果、そのイメージの源
泉たる手稿集にまでたどり着いてしまうところなどは、知的好
奇心に突き動かされるこの画家ならではのエピソードといえま
しょう。

本書は記念館書斎に配架中。ただし大型本のため、ご覧になる
には準備が必要です。ご希望の場合は前もってご連絡を。
また、「レオナルド連作」は記念館ホームページの「作品集」
に掲載中です。『記念館ニュース』第37号(2013年4月)掲
載の小林俊介さんによる講演記録も、ぜひお読みください。

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.7
2015年4月16日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

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メールマガジン第6号(2015年3月16日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.6
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
– Setagaya,Tokyo
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□■□  現在当館は、閉館中です  □■□
■□■ 次の開館は5月末の予定です ■□■

[1] あらたな試み 福沢一郎記念館の展示が変わる!? 
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(6)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ あらたな試み 福沢一郎記念館の展示が変わる!? 
 ー21年めの挑戦
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昨年、開館20周年を迎えた福沢一郎記念館は、今年あらたな試
みをスタートさせます。
多摩美術大学油画専攻の卒業生と、女子美術大学大学院美術専
攻(洋画・版画)修了生の成績優秀者にお贈りしてきた「福沢
一郎賞」が、今年20回めを迎えます。それを記念して、歴代受
賞者の皆様に当館を個展会場としてご提供する期間を設けるこ
とにいたしました。
作家の選定や実施期間などはまだ未定ですが、4月には皆様に
お知らせできることと思います。
また、このような試みをつうじて、画家福沢一郎とその作品が
けっして過去のものではなく、現在も息づいているということ
を、さらにお知らせできるよう、今後もささやかながら活動を
継続してまいります。

詳しくは当館ホームページにて。こうご期待!

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《餓鬼のわるだくみ》 1972年 アクリル・カンヴァス
 179×227cm 愛知県美術館

濃く暗い藍色の空に、妙に明るい黄色の大地。強烈なコントラ
ストの風景に、おなかの大きな餓鬼たちが転がって、なにやら
相談をしているようです。手足と身体のアンバランスな餓鬼た
ちは、グロテスクではありますが、どことなく滑稽で、笑いす
ら誘うようなすがたで描かれています。
この作品の初出品は1973年の個展「地獄への誘い」(5/8-20、
東京セントラル美術館)です。同展出品作の多くは源信の『往
生要集』に着想を得て描かれた、地獄や餓鬼道の世界でした。
しかし、福沢はただ説話の場面どおりに描くことはしません。
彼はいくつかの餓鬼のすがたに、現代の世相を重ねています。
同展のカタログに寄せた福沢の文章には「往生要集をふみ越え
て私は現代散歩を試みたが、それ等の作はどこの国の事かなど、
せんさくする必要はない。ただ私の幻想であると申し上げてお
く。」とあります。社会のなかで愚かしくもたくましくうごめ
く人々のすがたを餓鬼に重ね、画家は諷刺といくばくかの愛情
をも込めて、この絵を描いたのかもしれないですね。

本作品は愛知県美術館のコレクション展示「グロテスク・モデ
ルヌ」にて展示中、4/5まで開催。企画展「ロイヤル・アカデ
ミー展」もあわせてどうぞ。

作品画像は、当館ホームページの「作品集」から。

https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(6)
 
サルバドール・ダリ著、足立康訳、瀧口修造監修
『わが秘められた生涯』、新潮社、1981年

いわゆる「シュルレアリスム」の画家として有名な、鬼才サル
ヴァドール・ダリの自伝です。1981年刊行と、ずいぶん新しい
書籍ですが、英語の初版が出版されたのは1942年のこと。その
後、瀧口修造による抄訳が1953年10月の『藝術新潮』に掲載さ
れましたが、単行本として出版されるまでじつに28年もの歳月
を必要としました。
1930年代、前衛美術の紹介者・擁護者として活躍していた福沢
は、著書や雑誌記事などで事あるごとにダリの紹介をおこなっ
ていますが、戦後になると「ダリをめぐって」(『美術手帖』
第14号 1949年2月)を最後にめぼしいものはなくなります。
自身をシュルレアリストではないと述べていた福沢にとって、
ダリは過去の人となっていったのでしょうか。
そんなダリの自伝を、80を超えた福沢はどんな気持ちで読んだ
のでしょう。先に挙げた「ダリをめぐって」で「何といっても
執拗でたくましくて描写力を持ち、独断と奇想に満ちた理屈を
こねる点で当代無比」とダリを評した福沢は、同じ時代を駆け
抜けた鬼才に、ある種の親しみをもっていたのかもしれません。

本書は現在新刊での発売なし。興味のあるかたは図書館または
古書店へ!

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動をより
広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募っています。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.6
2015年3月16日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

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メールマガジン第5号(2015年2月21日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.5
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□■□  現在当館は閉館中です  □■□
■□■ 次の開館は6月の予定です ■□■

[1] 他館展覧会のご報告 沖縄・那覇市の「福沢一郎展」
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(5)
[4] 賛助会員のお誘い

――――――――――――――――――――――――――――
[1]
□ 他館展覧会のご報告
 「福沢一郎展 ―沖縄の子どもたちへ贈られた34点―」
  @那覇市民ギャラリー(2/3~8, 2015)

今月はじめに那覇市民ギャラリーにて行われた、福沢一郎展。
1960年代前半の、雑誌『太陽』創刊記念特集のために描かれた
34点が展示され、わずか一週間の会期ながら、600人を超える
入場者があったとのことです。
日本人のルーツを絵で見るような展示となり、観覧者の中から
はレキシ「狩りから稲作へ」がテーマソングだ!との指摘も。
沖縄の皆さんにとって、さまざまな角度から福沢作品に親しん
でいただく良い機会となりました。
最終日の8日(日)には、富岡市立美術博物館・福沢一郎記念
美術館館長の染谷滋さんによる講演会がありました。当館から
は館長の福沢一也夫妻が聴講。福沢一郎の画業と展示作品につ
いて、たっぷりとお話いただき、充実した講演だったとのこと。
貴重な時期の福沢作品、今度はぜひ東京などでも展示が実現す
るといいなと思います。

展覧会の会場風景は、記念館ホームページに掲載中。
https://fukuzmm.wordpress.com/2015/02/12/report_2015naha/

――――――――――――――――――――――――――――

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
陶板壁画《だるまの歌》 1982年 @高崎駅西口

群馬県の玄関口、高崎駅。JR上越・長野新幹線と在来線3路線
(分岐線も含めると6路線)と私鉄1路線が乗り入れる、県内で
最も規模の大きな駅です。
この駅の西口を出た北側の一角に、縦6m、横8.1mに及ぶ巨大
な壁画があります。福沢一郎が原画を担当した陶板壁画「だる
まの詩(うた)」です。
この壁画は「上越新幹線開業・高崎駅新駅舎完成」を記念し、
1982年に作られました。造型を担当したのは日本国内で数多く
の壁画やステンドグラスを手がけた芸術家ルイ・フランセン。
壁画のポイントはなんといっても愛嬌たっぷりのだるま達。福
沢は「問題のだるまは、面白く見せるためには、さまざまの表
現を持たせる必要がある。喜怒哀楽の個性的感情をそなえただ
るま達が、陶板の中から高崎駅乗降の御客に、愛嬌を振りまく
という趣向が面白いと思う。ようこそ群馬へというわけである」
と、だるま達に込めた思いを語っています。
重厚な陶板のなかで、思わず笑ってしまうような、ひょうきん
な表情をみせるだるま達。他の福沢作品とはちょっと違った魅
力があります。群馬高崎におでかけの際には、福沢のだるまを
お見逃しなく!

本作品は高崎駅西口ロータリー北側に設置中。いつでも見られ
ます。また、「福沢一郎 だるま」で検索すると、画像がたく
さんヒットしますので、ぜひ試してみてください。

――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――
[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(5)
 柳田国男『海上の道』(筑摩書房版)
 筑摩書房 1961年

「名も知らぬ 遠き島より…」という島崎藤村作詞の唄「椰子
の実」のヒントとなった、かの有名な民俗学者柳田國男の体験
談。この体験は柳田最後の著書である本書の巻頭論文「海上の
道」に昇華されました。『遠野物語』と並び、最も有名な柳田
の著作です。
本書の見返しには「一九六二年四月二十九日ー五月四日聖ルカ
病院にてこれを讀む 福沢一郎」と書き込みがあります。どう
やら入院中に読んでいたようですね。
さて、ちょうどこの頃、福沢には平凡社から雑誌『太陽』の挿
絵の依頼が入っていました。そう、最初の記事でもご紹介した
那覇市所蔵作品、つまり「日本人はどこからきたか」と「日本
文化のあけぼの」のために描かれた挿絵です。
南方より琉球諸島を経て、稲作とともに日本人のルーツのひと
つがやってきたという柳田の仮説は、『日本人はどこからきた
か』の挿絵に取りかかろうとしていた福沢に、さまざまなイメ
ージを提供したことでしょう。知を積み重ね、画面のバックボ
ーンとした福沢の制作姿勢がよくわかります。
ちなみに、柳田国男の旧宅は成城にあり、福沢一郎記念館から
は歩いて15~20分ほどの距離。現在、書斎跡には緑陰館とい
うギャラリーがあり、さまざまな展覧会が行われています。

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動をより
広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募っています。
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(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
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◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
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 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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【他館展覧会情報】「福沢一郎展 沖縄の子どもたちへ贈られた34点」@那覇市民ギャラリーの報告

2015年2月3日(火)から8日(日)まで、展覧会「福沢一郎展 沖縄の子どもたちへ贈られた34点」が、沖縄県那覇市の那覇市民ギャラリーで開催されました。
すでにご紹介したとおり、この展覧会の出品作は、平凡社の雑誌『太陽』創刊時の連載(1963-64年)のために描かれ、1966(昭和41)年に平凡社社長の下中邦彦氏により「沖縄少年会館」へ寄贈されたもので、今回はその寄贈作品34点すべてが一同に展示されました。
会場には福沢作品が『太陽』の記事掲載順、つまり日本人のあゆんできた時代の流れにそって展示されたので、「ヴィジュアル日本古代史」のような楽しみ方をした観覧者も多くいらしたとか。
また、雑誌『太陽』の福沢作品掲載ページや、掲載記事がその後まとめられた書籍『日本人の原像』、寄贈先の「沖縄少年会館」に関する資料なども展示され、当時の雰囲気を伝えていました。
さまざまなかたちで福沢作品に親しむ格好の機会となったこの展覧会、会期が短かったのが残念です。ぜひこれらの作品が、東京など沖縄県外でも展示される機会に恵まれることを願います。

以下、会場風景

会場入り口

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展示会場1

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展示室2

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年表と展示台

メールマガジン第4号(2015年1月17日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.4
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
– Setagaya,Tokyo
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□■□  現在当館は閉館中です  □■□
■□■ 次の開館は6月の予定です ■□■

[1] 展覧会のお知らせ 沖縄・那覇で福沢作品に出会う(再)
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(4)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 展覧会のお知らせ
 沖縄・那覇で福沢一郎作品に出会う!(再)
 「福沢一郎展 ―沖縄の子どもたちへ贈られた34点―」
  @那覇市民ギャラリー(2/3~8, 2015)
  ※副題が変更になったそうです
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前号でもお知らせした、那覇市での福沢一郎の展覧会。会期ま
であと2週間あまりとなりました。
今回展示されるのは、平凡社の雑誌『太陽』の創刊を記念した
連載記事「日本人はどこからきたか」及び「日本文化のあけぼ
の」のために描かれた、1962-4年頃の作品34点。50年代末か
ら60年代初頭、福沢は抽象的な絵画表現を試みていたのですが、
今回の展示作品は雑誌記事の挿絵ということもあり、より具体
的な描写が求められるものとなっています。さて画家はどのよ
うにして制作に挑んだのでしょう。詳しくはぜひ展覧会場にて。
会場となる那覇市民ギャラリーは、那覇市の中心部に位置し、
観光スポットとしても有名な国際通りにほど近く、移動にも便
利なところです。沖縄観光とあわせて、福沢作品の新たな一面
にふれる旅というのはいかがでしょう?

会 場:那覇市民ギャラリー
    沖縄県那覇市久茂地1-1-1 パレットくもじ6階
    電話098-867-7663
会 期:2月3日(火)~8日(日) 会期中無休
    午前10時~午後7時
観覧料:無料

※ 2月8日(日)には、富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術
館館長の染谷滋さんによるギャラリートークがおこなわれます。
午後3時~4時半の予定。

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《失楽園》 1980年 @山梨県立美術館

ミレーの作品でつとに有名な山梨県立美術館。ここに福沢一郎
の作品が所蔵されており、しかも常にご覧いただくことができ
るのです。同館1の階ロビーに設置されている、縦2m90cm、
横9mの巨大な《失楽園》です。
タイトルが示すとおり、この作品は17世紀イギリスの詩人・思
想家ジョン・ミルトンによる旧約聖書をテーマとした長編叙事
詩『失楽園』に着想を得たもので、左から右へと場面が流れる
パノラマ画というべき構成をとっています。
不思議なのは、楽園追放の場面で必ず描かれる天使ミカエルの
すがたが描かれていないことです。跳梁跋扈する悪魔と、森か
ら逃げ出す動物、そして走り去るアダムとイヴのすがたがある
だけなのです。
ミルトンの『失楽園』には、絶対的な存在としての神に抗い、
立ち向かう悪魔のすがたが、人間臭くいきいきとあらわされて
います。かつて「地獄図は描けても、天界のそれはむずかしい。
フィフス・アベニューよりもハーレムに、天衣よりもつづれに、
従順よりも反逆に、美は閃光を放つのではないか」と語った福
沢にとって、ミルトンの悪魔達は強い共感をよぶものだったの
ではないでしょうか。だからこそ、あえて天使を描かずに、う
ごめく悪魔のすがたで画面の多くを埋めたのでしょう。
アダムとイヴの追われてゆく先も、空虚ではありますが明るい
空が広がり、悲壮感ただよう世界というわけでもなさそうです。
愚かな人間の歴史のはじまりに寄せた福沢の思いが、背景の花
となってふたりに彩りを添えています。
82歳の福沢が挑んだ「失楽園」の世界。この大画面をぜひ山梨
で体感してみてください。
本作品は同館ロビーにて、開館日ならいつでも見られます。

作品画像は記念館ホームページに掲載中。
http://fukuzmm.wordpress.com/2011/10/11/1980_paradise_lost/

山梨県立美術館公式ホームページはこちら↓
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(4)
 Paul MacKendrick, The Greek Stones Speak,
 Paperback, Mentor Books, New York, 1966.

福沢の蔵書には洋書が数多くあり、その内容は美術書だけでな
く文学や人類学、考古学など多岐にわたっています。本書はギ
リシャの考古学に関する概説書で、本文はほぼ年代順に記述さ
れ、豊富な図版や地図などにより古代ギリシャ文明をわかりや
すく解説しています。
福沢は1970年にギリシャを旅行し、帰国後にかの地での取材を
もとに大作を次々と制作します。本書は1962年に初版が、1966
年にはペーパーバックが刊行されているので、おそらくは旅行
の前後で手に入れ、制作の参考にしていたのでしょう。
1962年当時の書評で、シカゴ大学の考古学教授ロバート・スク
ラントンは本書についていくつかの誤りを指摘しつつも「プロ
でない考古学者にとっては、まことに使いやすく価値ある旅行
ガイドである」と述べています。福沢が旅先で得たイメージを
膨らませ制作へと繋げるためにはおおいに役立ったのではない
かと思われます。
福沢は旅行の同年11月に個展「石は語る-ギリシャの旅-」を
開催し、この年の成果であるギリシャ及び西欧での取材の成果
を発表します。そこには底抜けに明るく躍動感にあふれた古代
神話の世界が広がっていました。
この個展のタイトルは、ひょっとするとこの書物に着想を得た
ものかもしれませんね。

1970年のギリシャ神話から主題を得た作品は、記念館ホーム
ページで2作品の画像を公開中。↓

https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動をより
広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募っています。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.4
2015年1月17日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

【ホームページを移転しました】


facebook: https://www.facebook.com/fukuzmuseum

Copyright(c) 2014-2015 FUKUZAWA ICHIRO MEMORIAL FOUNDATION
All Rights Reserved.

※バックナンバーは記念館ホームページでご覧いただけます。
※配信停止を希望される場合はそのままご返送ください。
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【他館展覧会情報】「福沢一郎展 沖縄の子どもたちへ贈られた34点」@那覇市民ギャラリー 2015.2.3-8

2015年2月3日(火)から8日(日)まで、展覧会「福沢一郎展 沖縄の子どもたちへ贈られた34点」が、沖縄県那覇市の那覇市民ギャラリーで開催されます。
この展覧会の出品作は、平凡社の雑誌『太陽』創刊時の連載(1963-64年)のために描かれたもので、1966(昭和41)年、日本復帰前の沖縄の子どもたちのために、平凡社社長の下中邦彦氏により「沖縄少年会館」へ寄贈されました。1979年に同館が閉館となった後は那覇市(久茂地公民館)に移管され、しばらく日の目を見ることはありませんでした。
今回、その寄贈作品34点すべてが一同に展示されます。福沢一郎作品の再発見といううれしいトピックであるだけでなく、1960年代の福沢の制作を考えるうえでも非常に貴重な機会となります。

主  催:那覇市
協  力:福沢一郎記念館(一般財団法人 福沢一郎記念美術財団)
     富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
展示期間:2015年2月3日(火)~2月8日(日)
     10:00-19:00(最終日17:00まで) 会期中無休
開催場所:那覇市民ギャラリー(パレットくもじ6F)
展示内容:那覇市収蔵の福沢一郎作品34点
     平凡社の雑誌『太陽』
     少年会館関連資料 等
観 覧 料:無料
関連行事:美術講座「福沢一郎の画業について」
     2月8日(日) 15:00-16:30、先着50名
     講師:染谷滋氏(富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館館長)

以下、展覧会チラシ画像

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メールマガジン第3号(2014年12月14日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.3
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
– Setagaya,Tokyo
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□■□ 現在当館は閉館中です □■□
■□■ 次の開館は来年春です ■□■

[1] 2014年秋の展覧会、終了しました
[2] 展覧会のお知らせ 沖縄・那覇で福沢一郎作品に出会う!
[3] コラム 福沢一郎の書架から(3)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 2014年秋の展覧会、終了しました
開館20周年記念
「福沢一郎と山下菊二 師弟は時代とどう向き合ったか」

http://fukuzmm.wordpress.com/2014/10/02/fukuz_kikuji_2014a/

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11月いっぱい行われた当館の開館20周年記念特別展示「福沢一
郎と山下菊二 師弟は時代とどう向き合ったか」は、無事終了
いたしました。期間中足をお運びくださったみなさま、どうも
ありがとうございました。
福沢一郎と山下菊二、戦後日本を代表するふたりの画家の作品
によって、とても刺激的な空間が生まれました。また、日本の
近現代美術を研究する方々からもさまざまなご意見をいただき、
小粒ながらも意義ある展示となったのではないかと自負してお
ります。今回は日曜日も開館したおかげで、たくさんの方々に
ご覧いただくことができました。
11/16に、徳島県立近代美術館の江川佳秀さんをお迎えして開
催したトークの会も、満員御礼で、よいお話になったと高評価
をいただきました。こちらはいずれ記念館ニュースでその内容
をご報告いたしますので、お楽しみに。

当館は来年春まで休館となります。また刺激的な展覧会を見て
いただけるよう、スタッフ一同がんばります!

展覧会場風景をホームページにアップいたしましたので、どう
ぞご覧ください。↓

http://fukuzmm.wordpress.com/2014/11/23/2014a_f_y_view/

「トークの会」報告はこちら↓
https://fukuzmm.wordpress.com/2014/11/29/talk_fy_20141116/

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[2]
□ 展覧会のお知らせ
 沖縄・那覇で福沢一郎作品に出会う!
 「福沢一郎展 ―沖縄少年会館へ寄贈の34点―」
  @那覇市民ギャラリー(2/3〜8, 2015)

来年2月、沖縄県の那覇市民ギャラリーで、福沢一郎の展覧会
が開催されることになりました。
今回展示されるのは、1966(昭和41)年、本土復帰前の沖縄
に、平凡社の当時の社長下中邦彦氏から贈られたもので「沖縄
少年会館」という施設に展示されていました。
この作品34点は、雑誌『太陽』の創刊を記念した特集記事のた
めに制作されたもので、主に古代日本の人々のすがたが描かれ
ています。それらは画家にとってどんな意味をもつものなのか、 
またなぜ沖縄にこの作品群が寄贈されたのか? 
単なる雑誌の挿絵と片付けてしまうにはもったいない、さまざ
まな謎を含んだこの作品群、すべて揃って展示されるのは非常
に貴重な機会です。しかも会期はわずか1週間!
来年2月は、あったかい沖縄で福沢作品に出会う旅など、企画
してみてはいかがでしょうか?

※ なお開催館でのオフィシャルな告知は来月の予定です。

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(3)
 『風俗画報 臨時増刊 江戸乃花』(上中下巻)
 東陽堂出版、1898(明治31)年12月〜1899年2月

昭和初期の前衛絵画をリードした福沢の蔵書に、こうしたいか
にもオールドファッションな書物があるのは、少し意外な気も
します。しかもこの三冊、福沢自身の手によってまとめて製本
され、表紙まで付けられているのです。
茶色い紙の表紙には「福沢蔵書 まとい」と書かれており、こ
のことばが、書物の謎を解く鍵になりました。
1934(昭和9)年の福沢の作品に《江戸の花》と題したものが
あります。画面下半分に、江戸火消しの纏や鳶口、梯子などが
密集するように描かれています。このモティーフのほとんどが
この書物の『上巻』から図像を引用して描かれていることがわ
かりました。
『風俗画報』は明治以降の日本人にとって重要なヴィジュアル
マガジン。マックス・エルンストが『ラ・ナチュール』などの
市井にあふれる書物を作品に用いた意図と非常に近しいものを
福沢も持っていたようですね。
1931年以降福沢の作品にあらわれる、遊女や武者、僧侶など
日本独特のモティーフは、そのイメージソースがまだ特定され
ていないものが多いのです。この書物を端緒として、それらの
謎が解明されていくかもしれません。

作品《江戸の花》の画像は記念館ホームページで公開中↓

https://fukuzmm.wordpress.com/2011/10/11/edoflower_1934/

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動をより
広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募っています。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.3
2014年12月14日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

【ホームページを移転しました】


facebook: https://www.facebook.com/fukuzmuseum

Copyright(c) 2014 FUKUZAWA ICHIRO MEMORIAL FOUNDATION
All Rights Reserved.

※バックナンバーは記念館ホームページでご覧いただけます。
※配信停止を希望される場合はそのままご返送ください。
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