メールマガジン第4号(2015年1月17日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.4
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
– Setagaya,Tokyo
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□■□  現在当館は閉館中です  □■□
■□■ 次の開館は6月の予定です ■□■

[1] 展覧会のお知らせ 沖縄・那覇で福沢作品に出会う(再)
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(4)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 展覧会のお知らせ
 沖縄・那覇で福沢一郎作品に出会う!(再)
 「福沢一郎展 ―沖縄の子どもたちへ贈られた34点―」
  @那覇市民ギャラリー(2/3~8, 2015)
  ※副題が変更になったそうです
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前号でもお知らせした、那覇市での福沢一郎の展覧会。会期ま
であと2週間あまりとなりました。
今回展示されるのは、平凡社の雑誌『太陽』の創刊を記念した
連載記事「日本人はどこからきたか」及び「日本文化のあけぼ
の」のために描かれた、1962-4年頃の作品34点。50年代末か
ら60年代初頭、福沢は抽象的な絵画表現を試みていたのですが、
今回の展示作品は雑誌記事の挿絵ということもあり、より具体
的な描写が求められるものとなっています。さて画家はどのよ
うにして制作に挑んだのでしょう。詳しくはぜひ展覧会場にて。
会場となる那覇市民ギャラリーは、那覇市の中心部に位置し、
観光スポットとしても有名な国際通りにほど近く、移動にも便
利なところです。沖縄観光とあわせて、福沢作品の新たな一面
にふれる旅というのはいかがでしょう?

会 場:那覇市民ギャラリー
    沖縄県那覇市久茂地1-1-1 パレットくもじ6階
    電話098-867-7663
会 期:2月3日(火)~8日(日) 会期中無休
    午前10時~午後7時
観覧料:無料

※ 2月8日(日)には、富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術
館館長の染谷滋さんによるギャラリートークがおこなわれます。
午後3時~4時半の予定。

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《失楽園》 1980年 @山梨県立美術館

ミレーの作品でつとに有名な山梨県立美術館。ここに福沢一郎
の作品が所蔵されており、しかも常にご覧いただくことができ
るのです。同館1の階ロビーに設置されている、縦2m90cm、
横9mの巨大な《失楽園》です。
タイトルが示すとおり、この作品は17世紀イギリスの詩人・思
想家ジョン・ミルトンによる旧約聖書をテーマとした長編叙事
詩『失楽園』に着想を得たもので、左から右へと場面が流れる
パノラマ画というべき構成をとっています。
不思議なのは、楽園追放の場面で必ず描かれる天使ミカエルの
すがたが描かれていないことです。跳梁跋扈する悪魔と、森か
ら逃げ出す動物、そして走り去るアダムとイヴのすがたがある
だけなのです。
ミルトンの『失楽園』には、絶対的な存在としての神に抗い、
立ち向かう悪魔のすがたが、人間臭くいきいきとあらわされて
います。かつて「地獄図は描けても、天界のそれはむずかしい。
フィフス・アベニューよりもハーレムに、天衣よりもつづれに、
従順よりも反逆に、美は閃光を放つのではないか」と語った福
沢にとって、ミルトンの悪魔達は強い共感をよぶものだったの
ではないでしょうか。だからこそ、あえて天使を描かずに、う
ごめく悪魔のすがたで画面の多くを埋めたのでしょう。
アダムとイヴの追われてゆく先も、空虚ではありますが明るい
空が広がり、悲壮感ただよう世界というわけでもなさそうです。
愚かな人間の歴史のはじまりに寄せた福沢の思いが、背景の花
となってふたりに彩りを添えています。
82歳の福沢が挑んだ「失楽園」の世界。この大画面をぜひ山梨
で体感してみてください。
本作品は同館ロビーにて、開館日ならいつでも見られます。

作品画像は記念館ホームページに掲載中。
http://fukuzmm.wordpress.com/2011/10/11/1980_paradise_lost/

山梨県立美術館公式ホームページはこちら↓
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(4)
 Paul MacKendrick, The Greek Stones Speak,
 Paperback, Mentor Books, New York, 1966.

福沢の蔵書には洋書が数多くあり、その内容は美術書だけでな
く文学や人類学、考古学など多岐にわたっています。本書はギ
リシャの考古学に関する概説書で、本文はほぼ年代順に記述さ
れ、豊富な図版や地図などにより古代ギリシャ文明をわかりや
すく解説しています。
福沢は1970年にギリシャを旅行し、帰国後にかの地での取材を
もとに大作を次々と制作します。本書は1962年に初版が、1966
年にはペーパーバックが刊行されているので、おそらくは旅行
の前後で手に入れ、制作の参考にしていたのでしょう。
1962年当時の書評で、シカゴ大学の考古学教授ロバート・スク
ラントンは本書についていくつかの誤りを指摘しつつも「プロ
でない考古学者にとっては、まことに使いやすく価値ある旅行
ガイドである」と述べています。福沢が旅先で得たイメージを
膨らませ制作へと繋げるためにはおおいに役立ったのではない
かと思われます。
福沢は旅行の同年11月に個展「石は語る-ギリシャの旅-」を
開催し、この年の成果であるギリシャ及び西欧での取材の成果
を発表します。そこには底抜けに明るく躍動感にあふれた古代
神話の世界が広がっていました。
この個展のタイトルは、ひょっとするとこの書物に着想を得た
ものかもしれませんね。

1970年のギリシャ神話から主題を得た作品は、記念館ホーム
ページで2作品の画像を公開中。↓

https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動をより
広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募っています。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.4
2015年1月17日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

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