メールマガジン第17号(2016年6月23日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.17
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
― Setagaya,Tokyo
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□■□   現在当館は閉館中です   □■□
■□■ 次の開館は9月末の予定です ■□■

[1] 春の展覧会「Words Works」展、終了しました
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 2016年春の展覧会
 「Words Works」展 -「福沢一郎・再発見」- vol.1
 終了しました
 
キャンペーン「福沢一郎・再発見」の一環としておこなわれた
展覧会「Words Works」展が、20日(月)に終了しました。
福沢一郎の3つのことばから、時代や作風に関わりなく作品を
選び展示するこの試み、美術館ではなかなかみられない展示の
方法だったようで、富岡の福沢一郎記念館の学芸員の方などは
「うちの展示室で観るのとはまったく違ってみえて面白い」と
おっしゃっていました。一般の方からも「小さいからできるこ
とだね」とか「同じようなものが並ぶよりも、ひとつずつに注
目できる」などのおことばをいただきました。
我々も、今回の展示を通して、この福沢一郎のアトリエでしか
できないユニークな展示の可能性を、あれこれ考えるいい機会
となりました。次なる「福沢一郎・再発見」vol.2に向けて、
早くもアイデアがどんどん出てきております!
あわせて、当館ホームページ上でも、今後さまざまな「再発見」
をご提案してまいります。どうぞお楽しみに!

会場風景をホームページにアップしました。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/2016/06/20/2016s_ww_view/

展覧会の内容については、こちらをどうぞ。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/2016/04/14/2016s_words_works/

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《翼をつくる男》 制作年不詳 
 53.0×45.2cm 信州高遠美術館蔵
 @「郷土ゆかりの作家・原田コレクション展」

長野県南部、山ふところに抱かれた「伊那谷」の中央に佇む、
豊かな自然と歴史のまち、伊那市。その中心部から東に位置す
る、サクラの名所として有名な高遠城址公園の中に、瀟洒な姿
の「信州高遠美術館」が建っています。
この美術館は、高遠町出身の画家・コレクター原田政雄が長年
にわたり収集した美術作品を核として、1992(平成4)年にオー
プンしました。福沢一郎の作品は72点収蔵されています。
今回ご紹介するのは、現在開催中の「郷土ゆかりの作家・原田
コレクション展」に出品されている5点のうち、《翼をつくる
男》。レオナルド・ダ・ヴィンチの厖大なメモやスケッチを集
めた『アトランティコ手稿』から、飛行機のような機械など複
数のイメージを引用したもので、1980年代前半の作品にはこう
した特徴がみられますから、この頃描かれた可能性があります。
うつむき加減の男、その背後に翼のようなかたちの機械、そし
て上からにゅうっと伸びてくる手。全く脈絡のないものどうし
が集う画面は、《寡婦と誘惑》(1930)など、福沢が若い頃
注目を集めた「シュルレアリスム絵画」とよばれるものと似た
雰囲気をもっています。天才レオナルドの精緻なスケッチを、
脈絡なく組み合わせることで、画家は若き日の刺激的な制作を
ふたたび蘇らせるような試みをおこなっていたのかもしれませ
んね。

「郷土ゆかりの作家・原田コレクション展」は、信州高遠美術
館で、7月24日(日)まで開催中です。詳しくは同館のホーム
ページをごらんください。↓
http://www.city.ina.nagano.jp/shisetsu/library_museum/takato_museum/tenrankai/kikakutenn.html

作品画像は、当館ホームページの「作品集」から。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[3]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.17
2016年6月23日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

【ホームページを移転しました】


facebook: https://www.facebook.com/fukuzmuseum

Copyright(c) 2014-2016 FUKUZAWA ICHIRO MEMORIAL FOUNDATION
All Rights Reserved.

※バックナンバーは記念館ホームページでご覧いただけます。
※配信停止を希望される場合はそのままご返送ください。
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【展覧会】「Words Works」展 会場風景

2016年春の展覧会 「Words Works」展ー「福沢一郎・再発見」vol.1ー の会場風景をご紹介します。

 

DSCF8805

今回の展覧会は、福沢一郎のことばを、文字通りキーワードとして、時代や作風に関わりなくピックアップして展示するという試みでした。ですから、《海》(1942、左端)の横に《政治家地獄》(1974、左から2番目)が来るという、ちょっと奇抜な並べ方になっています。この壁面のキーワードは「変わったのは政府であって、私ではない」。

 

DSCF8812

《海》(1942)は、以前熱海の旅館に掛かっていたもので、近年富岡市に寄贈され、修復がおこなわれました。福沢が治安維持法違反の疑いで逮捕された年(1941)の翌年に描かれたもので、戦時下の制作を知るうえで貴重な作例です。

 

DSCF8885

階段手前の漆喰の壁に掛かっているのは、滞欧作《装へる女》(1927、右端)。第16回二科展(1929)の出品作で、当時の雑誌にも図版が載っています。絵画に本格的に取り組みはじめた頃の作品と考えられており、ちょっとあやしいムードも漂う不思議な作品です。「こんな色のストッキングが当時あったのかしら?」「日本にはなかったかもしれないけど、パリならあったんじゃない?」という会話が、おしゃれな女性観覧者の間から、ちらほらと聞こえてきました。

 

DSCF8880

DSCF8874

この南側漆喰壁から西側、そして北側のコーナーまでに展示された作品のキーワードは「俺ぁ、シュルレアリストなんかじゃあ、ねえよ」です。今なおシュルレアリスム絵画の紹介者として語られることの多い福沢一郎ですが、彼はひとつのイズムにこだわらず、つねに新しい美術の動向に興味を示し、必要とあらばそれをためらいなく試行しました。ここではそんな画家の姿勢を示す作品を集めました。先にご紹介した《装へる女》のほか、科学雑誌の図版からイメージを引用している《蝶(習作)》(1930、下段中央)、黒一色の不定形のイメージが支配する《黒い幻想》(1959、下段左)、そして「デコラ板」という新素材(当時)を用いた壁画の習作としてつくられた《雪男》(1959〜60頃、下段右)を展示しました。

 

DSCF8870

階段脇から入る小部屋には、「美しき幻想は至る処にあり」という、作品のタイトルからとったキーワードをもとに作品・資料を集めてみました。福沢は地学や考古学、人類学などの学問に強い興味を示し、そこから主題や表現の幅を広げるヒントを得ていました。雑誌《太陽》の創刊特集「日本人はどこからきたか」の挿絵原画として描かれたとされる作品(1962頃)は、挿絵の機能を果たすことに終始するのではなく、絵画としてどう成り立たせるかに強い興味が向けられているように思えます。

 

DSCF8865

また、ここには小品ですが不思議な魅力をたたえた《顔》(1955、右端)と、素描《オーストラリア2》(1968頃、右から2番目)も展示してみました。前者は中南米旅行から帰ってから描いた「中南米シリーズ」の1点で、後者はオーストラリアのネイティブの人々を題材に描いたものです。いずれも福沢の人類学への興味が発端となって描かれたものと考えられています。しかし《顔》などは、大きく描かれた顔の、右には廃墟のような都市風景、左には荒涼とした大地が広がり、人類社会への警鐘をうかがわせるような作品でもあります。

 

DSCF8867

展示ケースの中には、このコーナーのキーワード「美しき幻想は至る処にあり」のもととなった作品(1931)の解説パネルと、『秩父山塊』(1944)を展示しました。『秩父山塊』は戦争中の著書ですが、当時の山村風景が洒脱な筆致で描かれているだけでなく、地質学や同時代の社会への強い興味が示され、専門家も驚くほどの知識と見識に満ちている好著です。ドイツ文学者の池内紀さん推薦で復刊もされており(1998)、手軽に楽しめます。

 

   *   *   *   *   *

 

今回の「Words Works」展は、「福沢一郎・再発見」vol.1と銘打って開催しました。今後も画家福沢一郎とその作品の魅力を「再発見」していただけるような展覧会を企画していきたいと思います。
展覧会詳細は、→こちらから。

 

メールマガジン第16号(2016年5月20日発行)

=======================================2016/05/20
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福沢一郎記念館 メールマガジン No.16
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
― Setagaya,Tokyo
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□■□   現在当館は開館中です   □■□
■□■ 開館日は日・月・水・金です ■□■

[1] 春の展覧会「Words Works」展、開催中!
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 2016年春の展覧会
 「Words Works」展 -「福沢一郎・再発見」- vol.1
 開催中!
 
キャンペーン「福沢一郎・再発見」の一環としておこなわれる
展覧会「Words Works」展、無事オープンいたしました。
今回は福沢の3つのことばを鍵として、時代や作風をこえて作
品を展示し、その魅力を再発見しようという試みです。つまり、
それぞれのコーナーに展示された作品の見た目はバラバラ。戦
時中の《海》の横に1974年の《政治家地獄》があったり、パリ
滞在時の作品《蝶(習作)》のはす向かいにデコラ板を貼り付
けて作った《雪男》があったり…。美術館などでは、ふつう
こういう展示はしないでしょう。
しかし、いや、だからこそ、作品どうしの関係がとても新鮮で、
かえって福沢の意図があぶり出されるような気がするから不思
議です。見た目が地味なため、ふだんはあまりいい壁面に置い
てもらえない《黒い幻想》が、今回西側のメインの壁面に飾ら
れて、ちょっと得意げに見えたりします。
福沢一郎ファンの方も、そうでない方も、この機会にぜひ福沢
作品の魅力を「再発見」してください。
来週の25日(水)には講演会も開催されます。みなさまのお越
しをお待ちしております。

会  期:5月13日(金)~6月20日(月)の
     日・月・水・金曜日開館
開館時間:12:00~17:00
観 覧 料:300円
講 演 会:「福沢一郎 ことばと作品」
     講師:伊藤佳之(当館学芸員)
     5月25日(水)14:00~16:00
     参加費:1,500円

詳しくは当館ホームページをご覧ください。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/2016/04/14/2016s_words_works/

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《大砲のある静物》 1931年 
 88.0×115.3cm 目黒区美術館蔵
 @「物・語 近代日本の静物画」福岡市美術館

グレーを基調にして大きな装置のようなものが背景に描かれ、
その手前には、明るい褐色でわずか4段の階段が、その段の上
には、まるでおもちゃのような大砲が、ひとつずつちょこんと
乗っています。影の描写にピンク色が使われているのが斬新す
ぎます。そしてその前をさっそうと飛び去っていく鳥、階段の
上に立てられた旗など…どれもこれも脈絡のないものばかり。
じつはこの作品、発表当時(第3回独立美術協会展、1933年3
月)には《軍国的静物》というタイトルで出品されていました。
これは「旧作に手を加えたもの」で、「時局が切迫すると味が
なくなる代物である。軽いユーモアを持たせた『エスプリ物』
である」と、当時の寄稿文で彼自身が解説しています。
モティーフとなった背景の大きな装置と階段は、18世紀にフラ
ンスで編纂された『百科全書』の図版集にある、天体観測に使
う「象限儀」の図版からとられていることがわかっています。
もとの図版がもつ、レトロで現実離れした印象を、福沢は同時
代の現実、つまり満州事変以降戦時へと突き進む日本の社会を
ドライかつ軽妙に揶揄するために使いました。
この作品が発表された1933年、福沢は《建たぬ建物》《動かぬ
機械》《マルクスをやるです》など、いずれも同時代の社会や
世相を諷刺した作品を制作しています。まさに福沢の真骨頂と
いうべき作品群ですが、残念なことに、これらはひとつも現存
が確認されていません。
《大砲のある静物》は、旧作に手を加えたものとはいえ、発表
当時の福沢が目指した、世間を斜に構えてシニカルに表現する
姿勢をよくあらわしている、貴重な作例といえるでしょう。

この作品は、福岡市美術館で開催中の展覧会「物・語 近代日
本の静物画」にて展示中です。近代日本の静物画を、独自の視
点で紹介する意欲的な展覧会。名品揃いですが、この中にあっ
ても福沢作品はシニカルな味を存分に発揮しています。
同展覧会は7/3(日)まで。展覧会特設サイトはこちら↓
http://things-tell.com

作品画像は、当館ホームページの「作品集」から。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[3]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.16
2016年5月20日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

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メールマガジン第15号(2016年4月20日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.15
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[1] 春の展覧会「Words Works」展のお知らせ
[2] ココで観られる福沢一郎作品
  @Google Art Project
[3] 賛助会員のお誘い

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このたびの、熊本地方を中心とした地震で被害に遭われたみな
さまに、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興
を願っております。

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[1]
□ 2016年春の展覧会
 「Words Works」展 -「福沢一郎・再発見」- vol.1
 
今年1月から、当館ではキャンペーン「福沢一郎・再発見」を
はじめました。その第一弾として、画家のことばをホームペー
ジのバナーで紹介し、知られざる福沢の魅力を発信する試みを
おこなっています。
これは、福沢が画家としてだけでなく、文筆家としても活躍し、
評論や随筆などのすぐれた仕事が残されていること、そしてそ
れらの中にあらわれたことばが、彼の制作姿勢を示すばかりで
なく、現代の社会や人間、そして芸術のありかたを考えるうえ
で、たいへん興味深いものであることから発案されました。
この春の展覧会は、この試みを展示で表現するようなもの。福
沢が発した象徴的な3つのことばを、文字通りキーワードとし
て、作品をピックアップしました。
例えば「変わったのは政府であって、私ではない」ということ
ばからは、戦時中に逮捕・拘禁を経験した福沢の、やや斜に構
えた、諧謔味たっぷりの政治観をみることができます。展覧会
場では、このことばをヒントに、戦前の逮捕後に描かれた《海》
や、70年代の政治・社会に主題を求めた作品を集めたコーナー
を作りました。
時代や表現手法はさまざまですが、ことばをヒントに作品を読
み解くことで、きっと福沢絵画の魅力を「再発見」していただ
けるものと思います。

会  期:5月13日(金)~6月20日(月)の
     日・月・水・金曜日開館
開館時間:12:00~17:00
観 覧 料:300円
講 演 会:「福沢一郎 ことばと作品」
     講師:伊藤佳之(当館学芸員)
     5月25日(水)14:00~16:00

詳しくは当館ホームページをご覧ください。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/2016/04/14/2016s_words_works/

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《他人の恋》《科学美を盲目にする》いずれも1930年 
 群馬県立近代美術館蔵
 @ Google Art Project

今回は、美術館での展示情報ではなく、ヴァーチャルな世界での
美術作品画像公開プロジェクト「Google Art Project」で閲
覧できる、2点の福沢作品をご紹介いたしましょう。
このプロジェクトでは、各美術館選りすぐりの美術作品を、高精
細の画像で見たり、展示室の内観を楽しんだりすることができま
す。群馬県高崎市の群馬県立近代美術館からは、所蔵作品41点の
画像が提供されており、そのうち2点が福沢一郎の《他人の恋》
と《科学美を盲目にする》です。
どちらも、1931(昭和6)年の第1回独立美術協会展に特別陳列
され、福沢一郎を「シュルレアリスム」の画家と印象づけた作品
です。しかし、無意識の世界の探究というよりは、脈絡のない図
版の組み合わせで奇妙な印象を醸しつつ、画題を寓意的に表した
もので、福沢独自の解釈によって、シュルレアリスム絵画の手法
が援用されているものといえます。
プロジェクトの各作品のページでは、作品画像を自在に拡大・縮
小して表示させることができ、最大まで拡大すると、絵具の質感
や筆の跡までわかります。《科学美を~》が全体的に薄塗りなの
に対して、《他人の恋》は部分的に絵具を盛り上げて描いている
のが観察できます。サインの書き方をみてみると、《科学美を~》
はモティーフとなっている天文観測機器のかたちに合わせたよう
にブロック体で「I.FUKUZ. -30」と書かれていますが、《他人
の恋》は、左下がりのやや崩れた文字で、「I.Fouk.福沢 30」
と書かれており、同じ年の作でも描き方がかなり異なるようすが
見て取れます。
このように、自在に倍率を変えながら画面上で作品を細かく観察
できるのが、このプロジェクトの面白いところです。もちろん、
高解像度の画像とはいえ、表示できる情報量には限度があります。
おや、これは何だろう?どうなっているの?と疑問が生じたら、
ぜひ実物を見て確かめてください。どちらも群馬県立近代美術館
の常設展示に出ることの多い人気作品ですから。
(美術館におでかけになる際には、事前に美術館ホームページで
 確認を!)

Google Art Project のWebサイトはこちら。↓
https://www.google.com/culturalinstitute/project/art-project
検索窓に「福沢一郎」と入れて検索すると、福沢一郎の2作品が
出てきます。

群馬県立近代美術館のホームページからも飛べます。

トップページ

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[3]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
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●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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【展覧会】「Words Works」展 5/13 – 6/20, 2016


このたび、当館では、春の展覧会として、「Words Works」展を開催いたします。
画家福沢一郎は、生涯にわたってテーマ(主題)を中心にした絵画制作をおこないました。そのテーマは多岐にわたりますが、ある象徴的ないくつかのことばが示す考えや思いが、それらのテーマの心棒となっています。
また彼は、昭和初期から文筆活動もさかんにおこない、さまざまなことばで美術の動向を、社会を、そして自分自身を語ってきました。それらのことば自体も、彼の鋭くドライな視線と、柔軟な芸術観、そして制作の姿勢を示すものです。
この展覧会は、作品を読み解く鍵として福沢自身の象徴的なことばを取り上げ、時代や作風を超えて作品をピックアップし、展示します。そこから浮かび上がる画家福沢一郎の実像とは、どんなものでしょうか。
福沢の生誕120年に向けたキャンペーン「福沢一郎・再発見」の一環でもあるこの展覧会、ぜひご覧いただきたく思います。

2016s_titlepage_aa


会 期:2016年5月13日(金)〜6月20日(月)の日・月・水・金開館
    12:00-17:00 
入館料:300円

※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎 ことばと作品」
講師:伊藤佳之(当館学芸員)
日時:5月25日(水) 14:00〜16:00
場所:福沢一郎記念館
会費:1,500円
※要予約、先着40名様(電話・FAXにて受付)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405
FAX. 03-3416-1166

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[1] キャンペーン「福沢一郎・再発見」はじめます
[2] ココで観られる福沢一郎作品
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[1]
□ キャンペーン「福沢一郎・再発見」はじめます

これまで、福沢一郎記念館(世田谷)では、年に2回の展覧会
を開催し、画家福沢一郎の作品をさまざまな角度からご紹介し
てきました。また昨年は、良いお仕事をなさっている福沢一郎
賞受賞者の方々を少しずつご紹介する展覧会「PROJECT dnF」
をはじめました。
2016年、当館はまた新たな、ささやかな試みをはじめます。

画家福沢一郎を語るとき、真っ先に出てくるのは「シュルレア
リスム絵画の紹介者」ということば。日本「近代」美術史のう
えでは、それは正しいのかもしれません。しかしそれは、画家
福沢一郎をあらわすことばに、ふさわしいものでしょうか?
彼はあくまで「いま」の絵画のありようを貪欲に追い求め続け
た画家でした。「いま」絵画はいかにあるべきか? 自分にし
か描けない絵とはどんなものか? 福沢の興味はそこにありま
した。決して時代遅れな、美術史の教科書に埋もれてしまうよ
うな古くさいものではないのです。
福沢一郎は、2018年に生誕120年を迎えます。その年に向け、
福沢一郎記念館では、キャンペーン「福沢一郎・再発見」をは
じめます。
それは、いつの間にか貼りついてしまった「福沢一郎=シュル
レアリスト」というレッテルを引きはがし、絵画の「いま」を
追い続けた画家の生きざまを明らかにしようとする試みでもあ
ります。
その、ささやかな試みとは?
まずは、福沢一郎のことばを読み解くことからはじめましょう。

「福沢一郎・再発見」の特設ページは、↓こちらから↓ 

https://fukuzmm.wordpress.com/fukuz/rediscover_fukuz_toward2018/

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《プラカードを持つ女》 1965年
 アクリル・カンヴァス 71.2×51.9cm
 @群馬県立近代美術館

やや傾いた真っ赤なビルディング。とってつけたような非常階
段には人が数人、下のほうを見るようなポーズをとっています。
その下には、ぽつぽつとプラカードをもって歩く人々がいて、
こちらに向かってくるようです。そして画面左端にはこの人々
を代表するように、プラカードを持った女性が大きく描かれて
います。カードの文字は少しかすれて、はっきりとは読めませ
んが、「JUSTICE(正義)」と書かれているようにも見えます。
福沢は1965(昭和40)年、約3ヶ月にわたってニューヨークに
滞在します。そこで彼が見たのは、豊かな大国アメリカの輝か
しい面と、人種のるつぼで矛盾が渦巻く混沌とした面でした。
カメラ片手にフィフス・アヴェニューからハーレムまで歩き回
り、街角の風景や、行き交う人々の姿を写真におさめた福沢は
ファインダーごしに得た印象、特にハーレムに暮らす人々の、
群衆としての力強さに魅せられ、それを主題としてたくさんの
作品を描きました。それは結果として、当時のアメリカの世相
を切り取り、その矛盾を浮き彫りにするものとなりました。
公民権運動が盛り上がりをみせていた当時、アフリカ系アメリ
カ人たちの求める「正義」はやすやすとは示されませんでした。
いま、人種や宗教の問題が、またしても大国アメリカを大きく
揺るがしています。少し淋しげに「正義」を掲げる女性の心持
ちは、いま人々が持つ憂いと、さほど変わらないもののように
も思えてきます。

本作品は4/3(日)まで、群馬県立近代美術館の常設展示室に
て公開中。《黒い煽動者》や《投票》など、1965年のニュー
ヨークで描かれた作品が、9点ずらりと展示されています。
鶴岡政男や、山口薫、オノサト・トシノブなど、群馬県出身の
ユニークな画家たちの作品もお見逃しなく。

群馬県立近代美術館のコレクション展示についてはこちら↓
http://mmag.pref.gunma.jp/index.html

作品画像は、当館ホームページの「作品集」から。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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――――――――――――――――――――――――――――
[3]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.14
2016年1月20日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

【ホームページを移転しました】


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Copyright(c) 2014-2016 FUKUZAWA ICHIRO MEMORIAL FOUNDATION
All Rights Reserved.

※バックナンバーは記念館ホームページでご覧いただけます。
※配信停止を希望される場合はそのままご返送ください。
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【キャンペーン】福沢一郎のことば・再発見

福沢一郎記念館のホームページバナーには、福沢一郎作品の部分画像がランダムに表示されています。
2016年1月、そのバナー画像が変わりました。
それらは、福沢一郎が発したことばや、彼の意図をあらわすフレーズを、彼の肖像写真とともにご紹介するもの。2018年の生誕120年に向けて、これからどんどん増えていく予定です。ランダムに表示されるので、タブをクリック、あるいはページ更新して、ぜひ全部見つけてください。
さて、福沢のことばには、どんな意味が、どんな思いが隠されているのでしょう。

現在公開中の「ことば」バナー画像(5つ)は、↓こちら↓

 

imnotsur_2018a

「俺ぁ、シュルレアリストなんかじゃあ、ねえよ」

 おそらく、福沢が新聞記者や美術記者たちに対して、最も多く発したことばが、これでしょう。昭和初期にいわゆる「シュルレアリスム絵画」に影響を受けた作品を発表してから数十年、なのに記者たちが訊くことといったら、いつも「シュルレアリスム」のことばかり。
画家はいつでも現在進行形。昔のことばかり話題にされてはたまらない。俺はいつでも、「いま」を生きて、「いま」を描いているんだ。その自負と、すこしばかりの悪戯心が、こんなことばに込められているようです。
「日本のシュルレアリスト」の取材をしてこいと言われた記者たちは、さぞ困ったことでしょうが…。

 

imnotchanged_2018a

「変わったのは政府であって、私ではない」

1965(昭和40)年、雑誌『三彩』に寄せた文章のタイトルです。
1950年代の後半になると、福沢は画家としての功績を高く評価され、芸術選奨文部大臣賞の受賞、ヴェネツィア・ビエンナーレへの副代表としての参加、国内の企画展への出品などが相次ぎます。そしてこの年、福沢は国立近代美術館京都分館の「前衛芸術の先駆者たち」展に、戦前の前衛絵画をリードしていた頃の作品を出品し、日本近代美術史に標した足跡が広く認められることになります。
しかし、それら出品作品や、戦前の盛んな活動のために、彼は1941(昭和16)年4月に、治安維持法違反の疑いで逮捕・拘留されたのです。自分はなにも変わらない。変わったのは政府だ。まことに諧謔に満ちた福沢らしいことばではありませんか。

 

over_ism_2018a

「フクザワイズムを、超えてみろ」

1930年代、前衛芸術の紹介者として、また論客として活躍した福沢のもとには、彼を尊敬する若い画家たちが集まりました。彼らの中には、福沢の画風にとても近くなる者もあり、それを揶揄して「フクザワイズム」なることばが、美術雑誌に踊ることもありました。
そんなとき福沢は、彼らが優れた画家ならば「フクザワイズム」なるものは必ず超えられ、彼ら独自の境地に到るべき、またそうでなければならないのだと、事あるごとに述べています。自分を慕う人々を擁護しつつ、しかしハッパをかけることも忘れない、そんな福沢の心持ちは、生涯変わることがありませんでした。

 

「フィフス・アベニューよりもハーレムに、天衣よりもつづれに、従順よりも反逆に、美は閃光を放つのではないか」

1966年の個展のパンフレットに、福沢自身が寄せたことばです。
個展の前年、彼はシカゴ近郊とニューヨークに滞在し、かの地で目にした事物を作品に描きました。特に、当時のアメリカに巻き起こっていた公民権運動に衝き動かされるアフリカ系住民のすがたに、彼は強い興味を持ちました。
辛い現実のなかで差別に抗いながらも、人間本来の力強さを失わない彼らを、福沢は「ひときわ美しい」と感じ、画面にそのすがたを塗り込めました。恵まれた、豊かで理想的な世界よりも、抑圧に抵抗する人間の強さがあらわれた世界に、画家はある種の共感を寄せ、そこに渦巻く人間の存在に「美の閃光」をみたのでしょう。この視点は、画家福沢一郎が終生失わずに持ち続けたものでした。

hankotsu_2018

「長い仕事の遍歴の間、私に巣くうていたものは叛骨の精神だったろう」

1960年2月発行の雑誌『造形』で「特集 福沢一郎」の巻頭言に、画家自身が書いたことばです。
このことばのあとに、「創意工夫は仕事の性質をだんだん変えてゆくが、これを推進させるものは、私の場合そういつた否定精神だ。」とも書いていて、画家にとって反逆・叛骨の精神が自身にとっていかに大切なものであるかを物語っています。
この姿勢は彼が芸術家を志して以来、一貫して抱き続けてきたプライドのようなものだと思われます。新しい芸術の潮流には敏感に反応し、その魅力的な部分を取り入れはするものの、それに追従することはそれを「既成概念」としてしまうことになり、あくまでそれらの思想や運動からは距離を保ち続けました。また、古典芸術に対しても、凝り固まった伝統や慣習には反発したものの、型破りで独自な表現の展開にはつねに関心を持ち、敬意を払ってきました。
福沢が反逆するのは停滞と固定化であり、叛骨精神は芸術家たちを取り巻く無気力にこそ発揮されたといっていいでしょう。

 

   *   *   *   *   *

「福沢一郎のことば・再発見」は、まだまだ続きます!

キャンペーン「福沢一郎・再発見」の詳細は、→こちらから。

 

   *   *   *   *   *

メールマガジン第13号(2015年11月20日発行)

=======================================2015/11/20
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福沢一郎記念館 メールマガジン No.13
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
— Setagaya,Tokyo
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□■□   現在当館は閉館中です   □■□
■□■ 次の開館は来年春の予定です ■□■

[1] 「福沢一郎のヴァーミリオン」展、終了しました
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(12)
[4] 賛助会員のお誘い

————————————————————————————
[1]
□ 2015年秋の展覧会「福沢一郎のヴァーミリオン」展
 終了しました!

鮮烈な赤をテーマにした今秋の展覧会「福沢一郎のヴァーミリ
オン」、無事終了いたしました。
福沢一郎の使う色をテーマにした展覧会は初めてでしたが、思
いのほか好評で、赤に埋め尽くされた展示室に「圧倒された」
「元気をもらった」「普通じゃない!」などのコメントを多く
いただきました。
もちろん、赤とひとくちに言っても、福沢作品にあらわれる赤
はひととおりではなく、それぞれの作品ごとの工夫によって、
描かれたテーマが鮮明に浮かび上がり、予期せぬ面白さがあり
ました。
例えば《争う男》(1965年、しののめ信用金庫蔵)は、画面
の大部分を赤が覆ってはいるものの、4種類くらいの赤が微妙
に重なりあって、互いにつかみかかり争う人々の動きや熱気を
あらわしています。いっぽう、その様子をちらちらと見ながら
我関せずと通り過ぎる人々は薄塗りで表現され、まるで迫り来
る赤=人々の熱気から逃げているようにも見えます。
虐げられた人々の力強さとともに、公民権運動がさかんだった
60年代半ばのアメリカの世相も垣間見える、非常に面白い作品
です。
考えてみると、この作品のような光景が、今も世界でおこって
いるのですね…。

今後も、こんなちょっと変わったテーマの展示に挑戦してみた
いと思います。
次回の展覧会は、来年春の「PROJECT dnF」です。詳しくは
メルマガや公式HPにてお知らせします。どうぞお楽しみに!

「福沢一郎のヴァーミリオン」展の内容は、こちら。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/2015/09/15/2015a_vermillion/

会場風景も公開中です↓
https://fukuzmm.wordpress.com

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《人間嫌い》 1928年 油彩・カンヴァス 71.2×51.9cm
 @群馬県立近代美術館

ぽつぽつと雲が浮かぶ、ややくすんだ濃紺の空。傾いて今にも
倒れそうなつぎはぎだらけの建物。その左奥へと煙をたなびか
せながら走り去る機関車…。どことなく物寂しい雰囲気が漂い
ます。画面の左上には、「Le misanthrop」(仏語:厭世家、
人間嫌い)の文字が見えます。
この絵は、福沢が1925-31年に住んだパリのアトリエ附近の風
景を描いたものだそうです。このアトリエは、モンパルナス駅
からフランス各地へと伸びる線路の脇にあり、福沢は毎日のよ
うに大都市パリと田舎を行き来する列車を眺めたことでしょう。
この絵について、福沢は後年次のように書き記しています。
「モティーフとしては、郊外通ひの二階のある汽車。此頃のや
うなうすら寒い頃、ポツネンと独り、風の吹きさらしのその二
階に腰をかけて、運ばれて行く男を見掛ける事がある。それが
私の興味を惹いたのである。「人間嫌ひ」とは、二階に小さく
描いてをつた男の、人間的なユーモアのある性癖をとつて名付
けた画題なのである。」
この文章が書かれたのは1932(昭和7)年。満州事変の陣中を
諷刺した作品《慰問袋に美人画を入れよ》などで物議を醸して
いた福沢は、文章のうえでも諧謔精神を存分に発揮させていま
す。
ただ、この絵を描いたときの心持ちは、少し違ったものだった
のかもしれません。パリの日本人画家たちの乱痴気騒ぎには関
わらず、酒も飲まず、賑やかな集まりからは距離を置いていた
彼は、一抹の寂しさと故郷への思いを、列車に揺られていくこ
の男に託したのではないか…とは、少し考えすぎでしょうか。
また、テーマを強く意識して制作にあたった、最も早い作品で
あることも、特筆すべきです。福沢が生涯追い続けた「主題絵
画」は、この絵から本格的にはじまったともいえるでしょう。

本作品は12/20(日)まで、群馬県立近代美術館の常設展示室
にて公開中。佐伯祐三《パリ郊外風景》や高畠達四郎《婦人像》
など、同時代のパリ滞在日本人作家の作品もお見逃しなく。

群馬県立近代美術館のコレクション展示についてはこちら↓
http://mmag.pref.gunma.jp/index.html

作品画像は、当館ホームページの「作品集」から。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(13)
 
大江健三郎『死者の奢り』 文芸春秋新社 1958年

小説家大江健三郎の、作家デビュー作にして芥川賞受賞候補作
「死者の奢り」。雑誌『文学界』に発表されるや、その奇妙な
感覚描写で大きな話題を呼び、翌年「飼育」で芥川賞を受賞す
る足がかりともなった、初期の代表作です。
本書は、書名にもなっている本作のほか「奇妙な仕事」「飼育」
など作家デビューの前後の短編がおさめられた、大江の最初の
単行書です。
本書の表紙には、福沢一郎の作品が使われています。赤を基調
としたカバーデザインのなかで、福沢独特の分割・再結合され
たような人体の塊が、強烈な印象を放っています。
福沢と大江のふたりをつないだものは何だったのか、詳しいこ
とはまだ不明ですが、ともに東大出身者であることのほか、大
江を芥川賞に推挙した舟橋聖一が福沢と親しかったことも、ふ
たりをつなぐ糸のひとつかもしれません。装幀・装画という仕
事をとおして文学者と画家との関係をみるのも、面白いもので
すね。
なお、大江健三郎著の文庫本のうち、新潮文庫版のカバーの多
くに山下菊二の作品が使われています。こんなところで師弟の
つながりがあるのも、また面白いことです。

本書は古本でしか手に入りませんが、最近かなり高値です。大
江の小説じたいは、手軽に手に入る新潮文庫版でお楽しみくだ
さい。大江の原点、必読です。

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
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●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
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【展覧会】「福沢一郎のヴァーミリオン」展 会場風景

秋の展覧会 「福沢一郎のヴァーミリオン」展 の会場風景をご紹介します。

 

01

記念館のメインウォールともいうべき青森ヒバの壁では、《闘牛》(1978)の大作がしっくりおさまっています。その右側には比較的小さいですが、同じ描法を用いたものを2点。「この絵を見るといつも元気が出るわ〜」とおっしゃるお客様も。

 

02

 

03

白い漆喰の壁には、青い空と真っ赤な牛が印象的な《闘牛》を、ぜいたくに1点だけ展示しました。ちいさな作品ですが、力があります。
その上には《花と鳥》(1970)。春の「PROJECT dnF」で室井麻未さんが初めてここに作品を展示してくださったので、どうしてもこのスペースを使いたくなってしまいました…。
そして、西側の壁には最晩年の大作《卑弥呼》(1991)。輿に乗って群衆の中をゆく卑弥呼にスポットをあて、その存在を強調してみました。

 

04

北側の壁には、1965年のニューヨーク滞在の頃に描かれた《争う男》。ハーレムの喧噪が赤で表現されています。その隣には、赤を多く使ったちょっと珍しい《ノアの洪水》(1970)。赤で描かれた人間たちのさまざまな姿にご注目ください。

 

05

階段脇から小部屋へと向かいます。部屋の入り口では《食水餓鬼》(1972)がお出迎え。部屋に入ると、ピンクの服と大地、黄緑色の空のコントラストが印象的な《オーストラリアの砂漠にて》(1967)と、今回唯一の水彩作品《インディオの女》(1954)が右手に並んでいます。

 

06

小部屋左手には《アダムとイヴ》(1958)と《鳥の母子像》(1957年)の50年代コンビ。ステンドグラスのような《鳥の母子像》も美しいですが、デコボコとした《アダムとイヴ》の渋い存在感もなかなか。もちろんどちらにも「赤」が効いています。

 

07

資料展示のケースには、福沢一郎の本棚から、赤い本をチョイスして並べてみました。まず『独立美術3 福沢一郎特集』(1932)。この中には、1932年当時の福沢のパレットをうかがい知ることができるカットがあります。ゆるいイラストがたまりません…。
それから、福沢一郎著『エルンスト』(1939)と、大江健三郎著・福沢一郎装幀『死者の奢り』(1958)。後者は、大江の小説家デビュー作を収録した初の単行本。この原画は今どこにあるのでしょうか? いつか巡り会えたらいいなと思います。

 

「赤」にこだわって選び抜いた作品たちは、それぞれ強い輝きを放っていますが、ただ単に派手というわけではなく、むしろ空間にしっくりとおさまって、画題や時代ごとの描き方をくっきりと浮かび上がらせています。
ぜひ、たくさんのかたにご覧いただきたいです。

 

   *   *   *   *   *

福沢一郎記念館は、展覧会会期中の日、月、水、金の開館となります。
皆様のお越しをお待ちしております。
展覧会詳細は、→こちらから。

メールマガジン第12号(2015年10月16日発行)

=======================================2015/10/16
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福沢一郎記念館 メールマガジン No.12
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
— Setagaya,Tokyo
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□■□   現在当館は開館中です   □■□
■□■ 開館日は日・月・水・金です ■□■

[1] 本日より開催!秋の展覧会「福沢一郎のヴァーミリオン」展
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(11)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 本日より開催!
 2015年秋の展覧会「福沢一郎のヴァーミリオン」展

10月も半ばとなり、山からは紅葉の便りも届くようになりまし
た。この秋、福沢一郎のアトリエも真っ赤に色づいて、皆様の
お越しをお待ちしております。
鮮烈な赤をテーマにした今回の展覧会「福沢一郎のヴァーミリ
オン」展。展示作業を終えて、赤という色そのものが前面に出
たというよりも、かえって描かれたモティーフや、画面の中の
赤の存在や役割に、より興味がわく展示になったと思います。
みどころのひとつは、「闘牛」のシリーズ。スペインの闘牛場
で繰り広げられる血と汗のドラマ、そして強い日差しと場内の
熱気を、福沢は鮮烈な赤を駆使して描きました。単に強烈なだ
けではなく、軽やかさも感じさせる興味深い3点です。
会場各所の解説文とともに、福沢一郎の「赤」をぜひお楽しみ
ください。

会  期:10月16日(金)〜11月15日(日)の
     日・月・水・金曜日開館
開館時間:12:00〜17:00
観 覧 料:300円
講 演 会:「“赤”から読み解く福沢絵画」
     講師:伊藤佳之(当館学芸員)
     10月30日(金)14:00〜15:30
     聴講には申込が必要です。

詳しくは当館ホームページをご覧ください。↓
https://fukuzmm.wordpress.com/2015/09/15/2015a_vermillion/ ‎

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《祝祭》 1971年 ステンドグラス(大伴二三弥作)
 240.0×500.0cm しののめ信用金庫本点蔵(群馬県富岡市)

世界遺産・旧官営富岡製糸場のある群馬県富岡市は、福沢一郎
の故郷でもあります。この街の中心部、しののめ信用金庫本店
のある場所には、かつて福沢一郎の生家が建っていました。
この信用金庫本店の店内に、巨大なステンドグラス《祝祭》が
あります。1階店舗の奥で光る重厚なステンドグラスは、なか
かの迫力です。
原画となった《祝祭》(1963年、群馬県立近代美術館蔵)も、
縦2m、横4m近い大作で、第7回日本国際美術館に出品された重
要な作品のひとつです。太く力強い黒の描線と重厚な色彩が特
徴のこの作品は、ステンドグラスの原画にはうってつけでした。
福沢はステンドグラス作家の大伴とともに、原画のイメージを
そのまま活かしながら、重厚な作品づくりをすすめました。
東京駅京葉線連絡通路にある《天地創造》と同じく、この作品
も、70年代の福沢の仕事を語るうえで欠かすことのできないも
のといえます。富岡製糸場見学とあわせて、立ち寄ってみては
いかがでしょうか。

ステンドグラス《祝祭》は、しののめ信用金庫本店の営業時間
内なら、いつでも見られます。ただし店舗奥に設置されていま
すので、近づいての鑑賞はできません。ご注意を。

原画《祝祭》は、当館ホームページの「作品集」から。↓

https://fukuzmm.wordpress.com/works/

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(12)
 
土方定一『現代美術 −近代美術とレアリズム−』
 吾妻書房 1948年

終戦後3年のあいだに、美術批評家土方定一が著した文章をま
とめた書物です。装幀は福沢一郎が手がけており、薄いブルー
の彩色をほどこした上に、黒の線で小さな人間像が躍動するさ
まが描かれています。
本書の内容は、クールベにはじまる西欧近代美術のテーマ別解
説、近代日本洋画の概観、当時の画家たちが直面していたレア
リズムの問題、主題とモティーフの問題など多岐にわたってい
ます。この中、坂本繁二郎、岸田劉生、岡鹿之助と並ぶように
「福沢一郎論」(初出:『みづゑ』第501号 1947年6月)が収
録されています。
この文章は、終戦直後の福沢の個展会場で巡らせた自分自身の
思考を回想するという趣向で書かれています。薄暗い電気の切
れかかった会場のなかで、土方はダンテ『神曲・地獄篇』に着
想を得た福沢の新作に、共感と違和感を同時に覚えながらも、
画家としての福沢のあゆみを自分なりに分析し、現代社会を批
判的にみる重要な画家のひとりとして評価しています。
この文章からは、福沢一郎という画家に対する土方の敬意と愛
情、そして画家の現状に満足しない冷静な批判精神がにじみ出
てきます。戦後の福沢の出発点を、そして同時代の絵画の問題
を考えるうえで、とても重要な文章です。

他の章も大変興味深く、本書をじっくり検討するだけでも一本
論文が書けそうです。当館の書斎でお読みいただくことができ
るほか、各美術館の図書室等にも所蔵があります。ご興味のあ
るかた、ぜひどうぞ。

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
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ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
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◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
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編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

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