【展覧会】シュルレアリスム100年記念特別企画 福沢一郎にとってシュルレアリスムとは何だったのか 5/9-6/8



このたび、福沢一郎記念館(世田谷)では、展覧会「シュルレアリスム100年記念特別企画 福沢一郎にとってシュルレアリスムとは何だったのか」を開催いたします。

 福沢一郎は、「日本における本格的なシュルレアリスム絵画の紹介者」と評されてきました。もちろん、彼が昭和初期の前衛絵画、特にシュルレアリスム絵画の展開にたいへん重要な役割を果たしたことは事実で、その足跡は無視できないものです。

 しかし、彼はシュルレアリスムというフランス発の芸術思想、そしてそれに共鳴した芸術家たちの運動を、そのまま日本に移入しようとしたわけではなく、またその思想や運動に全面的に共感していたわけではありません。

 では、彼にとってシュルレアリスムとはいったい何だったのでしょう? 単なる一過性の現象にすぎなかったのでしょうか? あるいは、それ以上の重要な意味をもって、彼の画業に影響をあたえ続けたのでしょうか? そして、福沢にとっての「シュルレアリスム」理解とそれに基づく制作や論評は、同時代の美術の動向にどのように作用したのでしょう?

 この展覧会は、福沢一郎のいわゆる「シュルレアリスム絵画」を展示するほか、日本のアートシーンに衝撃をあたえた「第1回独立美術協会展」の出品作の複製パネルや、未公開の福沢旧蔵文献資料などを展示し、彼の考える「シュルレアリスム」、彼が「シュルレアリスム絵画」で実現したかったこと、そしてそれらの意味・意義をさぐるささやかな試みです。


《蝶(習作)》 1930年

《教授たち―会議で他のことを考えている》 1931年

《水泳群像》 1935年(複製パネルを展示予定)

会 期:2024年5月9日(木)―6月8日(土)の
    木・金・土曜日 13:00 -17:00(入館は16:30まで)
    ※ 5月25日(土)は講演会参加者のみの観覧となります 
観覧料:300円


※講演会開催のお知らせ

「シュルレアリスムと福沢と日本の前衛」

全国3会場を巡回している展覧会「シュルレアリスムと日本」の企画者であり、日本のシュルレアリスム絵画の先駆的研究者のひとり、三重県立美術館館長の 速水豊氏 をお招きし、日本の前衛絵画の展開について、独自の視点でお話いただきます。

日時:2024年5月25日(土)14:00-15:30
講師:速水 豊 氏(三重県立美術館 館長)
会費:1,000円(観覧料込)
定員:先着30名様(定員になり次第締め切ります)

お申込はGoogleフォームにて承ります。4月25日(木)受付開始予定。
※ 4/24更新:講演会のお申込は、諸事情により、5月9日(木)からの受付に変更させていただきます。もうしばらくお待ちくださいませ。


【展覧会】福沢一郎の「ニッポン」4/13-6/1, 2012


《題不詳(人ならば浮き名や立たむさ夜ふけて我た枕に通ふ梅ヶ香)》
1931年 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵


《世相群像》1946年 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵



このたび、福沢一郎記念館では、春の展覧会として「福沢一郎の『ニッポン』」を開催いたします。

日本に生まれ、生活する画家が「ニッポン」を描くとき、それはどのようなすがたを伴って現れてくるのでしょう。
ある画家はこの国にしかない風景や人物像を求めるでしょうし、またある画家は受け継がれてきた伝統のなかに美しさを見出し画面に取り入れるでしょう。そして、それらの作品は、ときに故郷としての「ニッポン」を高らかに謳いあげ、ときに注意深く人間をみつめ、またときに社会のありようを激しく批判するものとなるでしょう。事ほど然様に、「ニッポン」をめぐる画家達の制作姿勢と、作品のありようは様々です。
今回の展示は、福沢一郎がどのように「ニッポン」を描いてきたかを、作品をとおして探る試みです。
当然のことながら、彼が「ニッポン」に向けたまなざしは、時代によって、また自らが置かれた立場によって、微妙に変化してゆきます。しかし、通底しているのは人間と社会に対する批判精神であり、また新たな「人間」のすがたを探ろうという強い欲求でした。
「ニッポン」が発展と混沌の渦中にあるとき、彼はその世相を、スナップショットのような視点で切り取ったり、地獄の世界になぞらえたりして、ユーモアたっぷりに批判しました。また「ニッポン」が危機の時代にあるとき、彼は社会の混乱を裸体群像によって象徴的に描き、人間性の恢復を切望しました。さらに晩年になると、古代日本の神話や歴史物語が主題に加わり、ダイナミックな人間達が画面を支配しました。
新鮮な驚きに満ちたワンダーランドであり、皮肉たっぷりに批判するに値する社会であり、さらには人間性を深くみつめるためのひとつの視座であった、福沢一郎の「ニッポン」。今回は新発見の作品2点を含めた10点を展示し、その姿をさぐってみたいと思います。この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:2012年4月13日(金)〜6月1日(金)11:00-17:00 月・水・金開館
※ 5月4日(金)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ

「福沢一郎、最近の話題」
※終了しました。講演会のようすは、“>こちらから
講師:染谷滋氏(群馬県立館林美術館 館長)
日時:5月9日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,500円
※要予約/先着40名様(FAXも可)
※追記:講演会の「会費」が、誤って「1,000円」と記載されておりました。お詫びして訂正いたします。(4/24)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166