【作品】 快楽と苦痛 / Pleasure and Pain 1982年

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題名/title: 《快楽と苦痛》/ Pleasure and Pain
制作年
/date:
1982年
技法・材質
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アクリル・カンヴァス / acrylic on canvas
寸法/size: 72.5×60.6cm
所蔵
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多摩美術大学美術館
Tama Art University Museum
  1983年の個展(6〜29日、ギャラリージェイコ)の出品作。このとき福沢は、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品に触発され、そのイメージを引用した作品を多く描いている。《快楽と苦痛》は、レオナルドの素描《快楽と苦痛の寓意(Allegories of Pleasure and of Pain)》(1485-1487 年、クライスト・チャーチ・ピクチャー・ギャラリー蔵、オックスフォード)のイメージを、ほぼそのまま描いている。しかしよりボリュームのある人体になっているのは福沢ならではといえようか。黄と褐色の絵の具の、淀みや溜まりなど偶然うまれる効果を活かした背景は、紙上の雑然とした印象や古色を表現したものでもあり、また70年代末の、色彩を施した背景に線のみで描く試みの延長でもある。

【作品】 餓鬼のわるだくみ / Gaki’s evil devices 1973年

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題名/title: 《餓鬼のわるだくみ》/ Gaki’s evil devices
制作年
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1973年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 179×227cm
所蔵
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愛知県美術館
Aichi Prefectural Museum of Art
  1973年の個展「地獄への誘い」出品作37点のうち、餓鬼を描いたものは18点と、ほぼ半数を占める。このとき福沢にとって餓鬼は重要なモティーフであったようだ。本作では夜のように暗い空の下、妙に明るい大地に転がりながら、餓鬼たちが何かしら相談をしている。現代社会に生きる人々の愚かさや悲哀、そして滑稽さと親しみまでもが、この餓鬼たちに投影されている。

【作品】 樹海 / Forest 1948年

題名/title: 《樹海》/ Forest
制作年
/date:
1948年
技法・材質
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油彩・カンヴァス / oil on canvas
寸法/size: 194.0×259.0cm
所蔵
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東京国立近代美術館
The National Museum of Modern Art, Tokyo
  日本美術会主催第2回日本アンデパンダン展出品作(1948年11月22日〜12月16日、東京都美術館)。終戦直後からこの時期まで福沢は裸の人間たちがうごめく群像を多く描いていたが、本作品には人間は登場しない。色彩と明暗の強烈なコントラストによって描かれた木々は、力強さとともにある種の不穏さを放つ。人間の不在によって人間へと迫ろうとしたといえようか。

【展覧会】「福沢一郎が見た人間の過去・現在・未来」展 10/15 – 12/1, 2010

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《悪のボルテージが上昇するか21世紀》1986年 197×333.3cm
富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵



このたび、福沢一郎記念館では、秋の展覧会として「福沢一郎が見た人間の過去・現在・未来」展を開催いたします。

福沢一郎が生涯に描いたモティーフは実に多岐にわたっています。聖書やギリシャ神話、日本の神話など我々人間の過去を語るテーマも彼が好んで描いたものの一つです。また自ら生きた時代の世相を描くことにも大変興味を持ちました。社会批判や諧謔の目で描いた作品が沢山残っています。そして未来。福沢は1898(明治31)年生まれ。19世紀の最後に生を受け、20世紀の大半を生き抜き、本人自身は21世紀まで足を踏み入れる、つまり3世紀にわたってこの世界を見届けるという願望を持っていました。1986年に描いた《悪のボルテージが上昇するか21世紀》には彼のそんな心情が伝わってくる気がします。
かつてゴーギャンは《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》と名付けられた代表作とも言うべき作品を残しています。ゴーギャンの場合、この3つの問いにたいして啓示を与えてくれるものは“神”であると自ら語っています。福沢一郎の3つの視点をつなぐものは間違いなく人間に対する深い関心と愛着であると思われます。今回の展示では大作《悪のボルテージが上昇するか21世紀》を中心に、福沢一郎のスケールの大きい世界をご覧いただきます。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:10月15日(金)〜12月1日(水)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 11月3日(水)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢絵画研究所」とその時代
講師:弘中智子氏(板橋区立美術館学芸員)
日時:10月27日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「エピソードに見る—福沢一郎」展 4/16 – 6/2, 2010

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《レダ》 1992年 150号



このたび、福沢一郎記念館では、春の展覧会として「エピソードに見る—福沢一郎」展を開催いたします。

絵を描くことは、画家の人生を映すようなもの。ですから名作とよばれる絵画には、さまざまな秘話・逸話が遺されています。それは時として作家自身に関することだけではなく、所蔵者や鑑賞者、それをとりまく社会にまで話題が及ぶこともあります。
福沢一郎の絵画にも、制作手法はもとより、それぞれの時代や場所、関わりのあった人々など、多くのエピソードが隠れています。画面を見るだけでは判らないエピソードを知ることで、絵画の楽しみ方はより豊かに、幅広くなることでしょう。
今回は初期作品から晩年の《レダ》(1992年/150号)に至る幅広い年代の作品を展示し、知られざるエピソードとともに、福沢一郎の絵画世界をお楽しみいただければと存じます。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:4月16日(金)〜6月2日(水)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 5月3日(月)、5月5日(水)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎先生のダンディズム」
講師:佐野ぬい氏(女子美術大学学長)
日時:4月28日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「福沢一郎が見た夢」展 10/16 – 12/2, 2009

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《La Maison Verte》 1924年 水彩 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵



このたび、福沢一郎記念館では、秋の展覧会として「福沢一郎が見た夢」展を開催いたします。

福沢一郎の画家としての道程は、1924(大正13)年から1931(昭和6)年のパリ滞在時代から始まります。
彫刻家を志してパリに渡った彼は、次第に絵画制作へと向かってゆきました。当時のスケッチ帳に描かれたドローイングからは、彫刻家独特のタッチが窺える反面、次第に自由なイマージュの世界を闊歩しようとする試みが垣間見られます。
彼が絵画のなかに見た「夢」はどのようなものだったのでしょうか。それを探るために、この一連のドローイングは重要なヒントを与えてくれます。酒脱なエスプリ、形態へのこだわり、そして自由な想像の境地。こうした要素は、その後の福沢作品にも受け継がれてゆきますが、殊に版画や素描に、色濃く表れていると思われます。
今回の展覧会は、滞欧期のスケッチ帳の複製パネルを展示し、彼の画家としての出発点における豊かなイマージュを楽しむとともに、《魏志倭人伝》に取材したリトグラフや《失楽園》のエチュードなどから、福沢絵画における夢幻の世界を闊歩しようとするものです。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:10月16日(金)〜12月2日(水)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 11月23日(月)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎 パリ滞在時のスケッチをめぐって」
講師:小林宏道氏(多摩美術大学美術館学芸員)
日時:11月4日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「福沢一郎・人間さまざま」展 4/15 – 6/1, 2009

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《牧神とニンフ》 1970年 150号 個人蔵



「世の中はよくはならない。それは悪がはびこるからだ。
 しかしそんなに悪くもなるまい。それは善意が人間から失われることはないからだ。」

 −−福沢一郎「地獄門」『福沢一郎画集 人間を求めて』 読売新聞社 より −−

このたび、福沢一郎記念館では、春の展覧会として「福沢一郎・人間さまざま」展を開催いたします。

福沢の絵画制作において、「人間」は、常に重要なテーマであり続けました。彼が人間という存在に向けた視線は、まさに先に挙げたことばに集約されています。善と悪がせめぎあい、時には悪が世を覆うことがあっても、人間の根本に善意が存在する。この考え方は、シュルレアリスムの手法を用いて諧謔的に世相を描いた戦前の作品から最晩年の神話・歴史物語に取材したシリーズに至るまで、一貫して多くの作品に描き込まれています。
大作《牧神とニンフ》(1970年/150号)を中心に、さまざまな年代の福沢作品から、彼の骨太な「人間愛」を感じ取っていただければ幸いです。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:4月15日(水)〜6月1日(月)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 4月29日(水)、5月4日(月)、5月6日(水)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎における人間の問題」
講師:瀬木慎一氏(美術評論家)
日時:4月27日(月) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「60年代以降の福沢一郎絵画−放たれる色彩−」 10/15 – 12/1, 2008


《ヘラクレスと牛》 1970年



このたび、福沢一郎記念館では、秋の展覧会として「60年代以降の福沢一郎絵画−放たれる色彩−」を開催いたします。

1955年、アメリカで開発された水溶性アクリル絵具は、その使いやすさと発色の良さで、多くのアーティストに支持されます。
福沢一郎は、60年代後半から、このアクリル絵具を用いた制作を行うようになります。もともと色彩の強い対比を特徴としていた福沢絵画は、 この画材によってより鮮やかに、色の輝きを放つようになります。また時を同じくして、福沢の絵画は抽象から具象へと形態の描出を変化させていきます。 社会問題や神話、宗教説話、さらには人間存在そのものを描き出そうとする福沢の「主題絵画」の方向を決定づける過程で、アクリル絵具による鮮やかな 色彩の獲得という重要な出来事があったことは、画家福沢一郎の制作の変遷を考えるうえでとても興味深いものです。
今回は、こうした鮮やかな色彩の魅力がいかんなく発揮された60年代以降の福沢絵画をご紹介し、その魅力を存分に味わっていただく機会といたします。
ぜひお出かけください。

会 期:10月15日(水)〜12月1日(月)11:00-17:00 月・水・金開館
※ 11月3, 24日(月)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「新発見の福沢一郎作品をめぐって」
講師:大谷省吾氏(東京国立近代美術館主任研究員)
日時:11月12日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「『福沢一郎と旅』展-画想の原点は旅からはじまった-」 4/16 – 6/2, 2008

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《鳥の母子像》 1957年 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵



このたび、福沢一郎記念館では、春の展覧会として「『福沢一郎と旅』展-画想の原点は旅からはじまった-」を開催いたします。

福沢一郎の絵画が大きな転換をみせるとき、そこにはいつも「旅」がありました。
彫刻家を志してパリに渡った時、彼は画家に転身し、大きな成功をおさめます。日本に帰ってきてからも、戦前は中国東北部(旧満州)や山西省への旅で大きな収穫を得ました。戦後は北海道・東北にはじまり、中南米、インド、オーストラリアなど、世界中にその旅先を広げ、そこから得た着想によりいっそうスケールの大きい絵画世界を展開させています。
福沢一郎の旅の軌跡を思い浮かべながら、その力強い画面を味わっていただきたいと思います。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:4月16日(水)~6月2日(月)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 5月5日(月)は祝日ですが開館します。
入館料:300円

※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎と行くフランス中世美術の旅」
講師:伊藤佳之氏(群馬県立館林美術館学芸員)
日時:4月30日(水) 14:00~15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,500円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】 「蟹のよこばい」展 10/15-12/3, 2007

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このたび、福沢一郎記念館では、秋の展覧会として『蟹のよこばい』展を開催いたします。

「蟹のよこばい」は、1969年に刊行された福沢一郎の画集のタイトルです。この言葉には、世の中の流れに迎合せず、人間や社会を批判的に見る福沢の 基本的な立ち位置が表されています。
また、同画集には「fais ce que voudras」(思うがままにせよ)という言葉が書かれたページもあり、円熟期を迎えてなお、作家が頑強な反骨精神を 持ち得ていたことがわかります。
今回は、福沢一郎の「よこばい」な視線を感じさせる様々な作品をご紹介します。作家の諧謔と反骨、そしてユーモア精神を感じ取っていただければ幸いです。

会 期:10月15日(月)-12月3日(月)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※11月23日(金)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会
「福沢一郎 1925年の意味」
講師:仙仁 司氏(多摩美術大学美術館 学芸員)
日時:10月31日(水)14:00-15:30
場所:福沢一郎記念館