【作品】父と子 / Father and child 1937年

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題名/title: 《父と子》/ Father and child
制作年
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1937年
技法・材質
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油彩・カンヴァス/oil on canvas
寸法/size: 28.0×20.0cm
所蔵
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板橋区立美術館
Itabashi Art Museum
  空虚な室内と思しき空間に、肩車の父と子。無邪気な子の動きに比して、下を向く父は静かで暗鬱な印象である。日中戦争のはじまった年、画家は我が子の未来にいいしれぬ不安を感じていたのか。その不安を暗示するように、毬が転がる。

【展覧会】「花と福沢一郎」展 4/15 – 6/1, 2011

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《大阪箕面学園図書館ステンドグラス原画》 1983年



このたび、福沢一郎記念館では、春の展覧会として「花と福沢一郎」展を開催いたします。

福沢一郎といえばシュルレアリスムの難しい画風の作品、《牛》や《敗戦群像》などの人を圧するような迫力ある大作、奇怪な人間や動物が描かれている地獄絵シリーズなどがすぐ思い起こされますが、花をテーマにした優しい作品も沢山描いています。一見すると同じ作家の作品とは思えない印象を持たれるかもしれません。しかし花というテーマは福沢一郎にとってはそれほど違和感あるテーマではありませんでした。シュルレアリスムに関心を持っていた時代、1930年代に描いた作品にも花をテーマとしたものがあり、いまも現存しています。
今回の展示では、こうした花を扱った作品、花と人物が組み合わさった作品などに焦点を絞って並べてみました。そうすることによって実はいままで福沢一郎的でないのではと思われていた花の作品が、やはり福沢一郎ならではの作品であることが見えてきます。自分が描きたい対象をけれんみなく真っ向から描くやりかた、透明感のある色彩の使い方などは福沢一郎のすべての作品に共通した特色だといえると思います。じっくりとご覧いただきご自分で感じ取っていただけたら幸いです。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:4月15日(金)〜6月1日(水)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 4月29日(金)、5月4日(水)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎氏と私の父、そして熊井 啓」
講師:熊井明子氏(作家・ポプリ研究家)
日時:4月27日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【作品】 レオナルドによる雑考から / From memorandum by Leonardo da Vinci 1983年

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題名/title: 《レオナルドによる雑考から》/ From memorandum by Leonardo da Vinci
制作年
/date:
1983年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス / acrylic on canvas
寸法/size: 45.2×140cm
所蔵
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富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
Tomioka City Museum / FUKUZAWA Ichiro Memorial Gallery
  画面中央にはレオナルド最晩年の傑作といわれる《洗礼者ヨハネ》(1513-1516年、ルーヴル美術館蔵)、左端には《女の頭部》(1473年頃、ウフィッツィ美術館)、それら周辺には『アトランティコ手稿』などの素描にみられるさまざまなイメージが散りばめられている。《快楽と苦痛》などでは背景が褐色を基調としてつくられていたが、ここでは青や紫、黄などの鮮やかな色彩を配置しその効果を試している。なお本作品は同名の大作(1983年、190×600cm、学校法人箕面学園蔵)の習作と考えられる。

【作品】 快楽と苦痛 / Pleasure and Pain 1982年

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題名/title: 《快楽と苦痛》/ Pleasure and Pain
制作年
/date:
1982年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス / acrylic on canvas
寸法/size: 72.5×60.6cm
所蔵
/collection
多摩美術大学美術館
Tama Art University Museum
  1983年の個展(6〜29日、ギャラリージェイコ)の出品作。このとき福沢は、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品に触発され、そのイメージを引用した作品を多く描いている。《快楽と苦痛》は、レオナルドの素描《快楽と苦痛の寓意(Allegories of Pleasure and of Pain)》(1485-1487 年、クライスト・チャーチ・ピクチャー・ギャラリー蔵、オックスフォード)のイメージを、ほぼそのまま描いている。しかしよりボリュームのある人体になっているのは福沢ならではといえようか。黄と褐色の絵の具の、淀みや溜まりなど偶然うまれる効果を活かした背景は、紙上の雑然とした印象や古色を表現したものでもあり、また70年代末の、色彩を施した背景に線のみで描く試みの延長でもある。

【作品】 餓鬼のわるだくみ / Gaki’s evil devices 1973年

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題名/title: 《餓鬼のわるだくみ》/ Gaki’s evil devices
制作年
/date:
1973年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 179×227cm
所蔵
/collection
愛知県美術館
Aichi Prefectural Museum of Art
  1973年の個展「地獄への誘い」出品作37点のうち、餓鬼を描いたものは18点と、ほぼ半数を占める。このとき福沢にとって餓鬼は重要なモティーフであったようだ。本作では夜のように暗い空の下、妙に明るい大地に転がりながら、餓鬼たちが何かしら相談をしている。現代社会に生きる人々の愚かさや悲哀、そして滑稽さと親しみまでもが、この餓鬼たちに投影されている。

【作品】 樹海 / Forest 1948年

題名/title: 《樹海》/ Forest
制作年
/date:
1948年
技法・材質
/materials:
油彩・カンヴァス / oil on canvas
寸法/size: 194.0×259.0cm
所蔵
/collection
東京国立近代美術館
The National Museum of Modern Art, Tokyo
  日本美術会主催第2回日本アンデパンダン展出品作(1948年11月22日〜12月16日、東京都美術館)。終戦直後からこの時期まで福沢は裸の人間たちがうごめく群像を多く描いていたが、本作品には人間は登場しない。色彩と明暗の強烈なコントラストによって描かれた木々は、力強さとともにある種の不穏さを放つ。人間の不在によって人間へと迫ろうとしたといえようか。

【展覧会】「福沢一郎が見た人間の過去・現在・未来」展 10/15 – 12/1, 2010

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《悪のボルテージが上昇するか21世紀》1986年 197×333.3cm
富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵



このたび、福沢一郎記念館では、秋の展覧会として「福沢一郎が見た人間の過去・現在・未来」展を開催いたします。

福沢一郎が生涯に描いたモティーフは実に多岐にわたっています。聖書やギリシャ神話、日本の神話など我々人間の過去を語るテーマも彼が好んで描いたものの一つです。また自ら生きた時代の世相を描くことにも大変興味を持ちました。社会批判や諧謔の目で描いた作品が沢山残っています。そして未来。福沢は1898(明治31)年生まれ。19世紀の最後に生を受け、20世紀の大半を生き抜き、本人自身は21世紀まで足を踏み入れる、つまり3世紀にわたってこの世界を見届けるという願望を持っていました。1986年に描いた《悪のボルテージが上昇するか21世紀》には彼のそんな心情が伝わってくる気がします。
かつてゴーギャンは《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》と名付けられた代表作とも言うべき作品を残しています。ゴーギャンの場合、この3つの問いにたいして啓示を与えてくれるものは“神”であると自ら語っています。福沢一郎の3つの視点をつなぐものは間違いなく人間に対する深い関心と愛着であると思われます。今回の展示では大作《悪のボルテージが上昇するか21世紀》を中心に、福沢一郎のスケールの大きい世界をご覧いただきます。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:10月15日(金)〜12月1日(水)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 11月3日(水)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢絵画研究所」とその時代
講師:弘中智子氏(板橋区立美術館学芸員)
日時:10月27日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「エピソードに見る—福沢一郎」展 4/16 – 6/2, 2010

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《レダ》 1992年 150号



このたび、福沢一郎記念館では、春の展覧会として「エピソードに見る—福沢一郎」展を開催いたします。

絵を描くことは、画家の人生を映すようなもの。ですから名作とよばれる絵画には、さまざまな秘話・逸話が遺されています。それは時として作家自身に関することだけではなく、所蔵者や鑑賞者、それをとりまく社会にまで話題が及ぶこともあります。
福沢一郎の絵画にも、制作手法はもとより、それぞれの時代や場所、関わりのあった人々など、多くのエピソードが隠れています。画面を見るだけでは判らないエピソードを知ることで、絵画の楽しみ方はより豊かに、幅広くなることでしょう。
今回は初期作品から晩年の《レダ》(1992年/150号)に至る幅広い年代の作品を展示し、知られざるエピソードとともに、福沢一郎の絵画世界をお楽しみいただければと存じます。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:4月16日(金)〜6月2日(水)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 5月3日(月)、5月5日(水)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎先生のダンディズム」
講師:佐野ぬい氏(女子美術大学学長)
日時:4月28日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「福沢一郎が見た夢」展 10/16 – 12/2, 2009

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《La Maison Verte》 1924年 水彩 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵



このたび、福沢一郎記念館では、秋の展覧会として「福沢一郎が見た夢」展を開催いたします。

福沢一郎の画家としての道程は、1924(大正13)年から1931(昭和6)年のパリ滞在時代から始まります。
彫刻家を志してパリに渡った彼は、次第に絵画制作へと向かってゆきました。当時のスケッチ帳に描かれたドローイングからは、彫刻家独特のタッチが窺える反面、次第に自由なイマージュの世界を闊歩しようとする試みが垣間見られます。
彼が絵画のなかに見た「夢」はどのようなものだったのでしょうか。それを探るために、この一連のドローイングは重要なヒントを与えてくれます。酒脱なエスプリ、形態へのこだわり、そして自由な想像の境地。こうした要素は、その後の福沢作品にも受け継がれてゆきますが、殊に版画や素描に、色濃く表れていると思われます。
今回の展覧会は、滞欧期のスケッチ帳の複製パネルを展示し、彼の画家としての出発点における豊かなイマージュを楽しむとともに、《魏志倭人伝》に取材したリトグラフや《失楽園》のエチュードなどから、福沢絵画における夢幻の世界を闊歩しようとするものです。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:10月16日(金)〜12月2日(水)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 11月23日(月)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎 パリ滞在時のスケッチをめぐって」
講師:小林宏道氏(多摩美術大学美術館学芸員)
日時:11月4日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166

【展覧会】「福沢一郎・人間さまざま」展 4/15 – 6/1, 2009

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《牧神とニンフ》 1970年 150号 個人蔵



「世の中はよくはならない。それは悪がはびこるからだ。
 しかしそんなに悪くもなるまい。それは善意が人間から失われることはないからだ。」

 −−福沢一郎「地獄門」『福沢一郎画集 人間を求めて』 読売新聞社 より −−

このたび、福沢一郎記念館では、春の展覧会として「福沢一郎・人間さまざま」展を開催いたします。

福沢の絵画制作において、「人間」は、常に重要なテーマであり続けました。彼が人間という存在に向けた視線は、まさに先に挙げたことばに集約されています。善と悪がせめぎあい、時には悪が世を覆うことがあっても、人間の根本に善意が存在する。この考え方は、シュルレアリスムの手法を用いて諧謔的に世相を描いた戦前の作品から最晩年の神話・歴史物語に取材したシリーズに至るまで、一貫して多くの作品に描き込まれています。
大作《牧神とニンフ》(1970年/150号)を中心に、さまざまな年代の福沢作品から、彼の骨太な「人間愛」を感じ取っていただければ幸いです。
この機会に、ぜひお出かけください。

会 期:4月15日(水)〜6月1日(月)11:00-17:00 月・水・金開館
    ※ 4月29日(水)、5月4日(月)、5月6日(水)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「福沢一郎における人間の問題」
講師:瀬木慎一氏(美術評論家)
日時:4月27日(月) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166