メールマガジン第9号(2015年6月16日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.9
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
— Setagaya,Tokyo
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□■□  現在当館は開館中です  □■□
■□■ 15日から28日まで無休  ■□■

[1] 「PROJECT dnF」第2回 室井麻未「ある景色」
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(9)
[4] 賛助会員のお誘い

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[1]
□ 2015年春の展示
 「PROJECT dnF ー「福沢一郎賞」受賞作家展ー」
  第2回 室井麻未「ある景色」
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歴代の「福沢一郎賞」受賞者に記念館のギャラリーを個展会場
として提供する試み「PROJECT dnF」。
第1回 照沼敦朗「惑星の端」は好評のうちに幕を閉じました。
ご来館いただきました皆様、ありがとうございました!
映像を中心としたインスタレーションは、ご来館くださった皆
様にとっても、そして我々スタッフにとっても、たいへん刺激
的なものでした。作家のさらなる活躍に期待しましょう。

そして昨日、第2回 室井麻未「ある景色」がオープンしました。
室井の作品には、イメージがまるで層をなすようにいくつも塗
り込められ、さまざまな色が踊っています。軽やかさと重厚さ、
ゆるやかさと鋭さが同居するふしぎな世界です。
室井は、わたしたちが眼で見ている世界と、そのあいだ、その
むこうにある、見えそうで見えない世界のあいだで揺れ動きな
がら、その揺れ幅を塗り込めるように制作しています。絵画と
はいったい何か、見えるものと見えないもののあいだには何が
あるのか。彼女の作品は、そんな根本的な問いかけをしている
ようです。
ゆるやかな絵画のありようを探る注目の画家が、初めての個展
を当館でおこないます。この機会にぜひご覧ください。

「PROJECT dnF -「福沢一郎賞」受賞作家展-」
第2回 室井麻未「ある景色」の開催予定は以下のとおりです。

6月15日(月) — 28日(日) 11:00 — 17:00 無休
オープニングレセプション 6月20日(土)17:00 — 19:00
ギャラリートーク 6月21日(日)14:00 — 15:00

記念館ホームページで、日程等をご覧になれます。
https://fukuzmm.wordpress.com/2015/04/28/dnf_1terunuma_2muroi/

※福沢一郎作品も、奥の部屋に展示いたします。こちらもぜひ
お楽しみください。

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《ケンタウロス》 1970年 アクリル・カンヴァス
 71×162cm 前橋市立図書館蔵

深い青色の空と黄緑の鮮やかな大地を背景に、ピンク色のケン
タウロスが大きく腕を広げ、まるで飛び跳ねるようなポーズを
とっています。後ろでは牧神らが踊り、底抜けに明るい世界を
楽しんでいるようです。
この作品は、1971年に群馬銀行から前橋市へ寄贈され、1974
年に現在の前橋市立図書館が開館したとき、中央図書室に展示
されました。1階と2階のあいだの吹き抜けに面した細長い壁に、
まるであつらえたようにぴったりとおさまっています。
1970年頃、福沢はギリシャ神話に主題を得て多くの作品を制作
います。青い空と果てしない大地、そして奔放なポーズの神々
や半獣半人たちは、この時期の重要なモティーフだったようで、
福沢は作品ごとに少しずつ、かたちや描写の方法を変えながら
描いています。この作品にあらわれた鮮やかなピンクのケンタ
ウロスは、おおらかなポーズとあいまって、とてものびやかに、
そして力強く、生命を謳歌しているように思えます。
本作品が図書館に展示されるようになった経緯は明らかではあ
りませんが、大地の上で躍動するケンタウロスや牧神のすがた
は、まことに福沢らしい、自由な学びの場の象徴といえるかも
しれません。

本作品は前橋市立図書館1階の中央図書室に常設展示中。開館
中ならいつでも見られます。

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(9)
 
アンダーソン著、松崎壽和訳『黄土地帯』
 座右寶刊行会、1942年

本書は、スウェーデンの地質学者・考古学者ヨハン・グンナー
ル・アンダーソン(アンデショーン)の著書『黄土の子等:先
史時代中国の研究(原題Children of the Yellow Earth
:Studies in Prehistoric China)』(マクミラン社、
ニューヨーク、1934年)を訳したものです。著者は戦前の中国
で地質調査や発掘、後進の指導にあたり、中国の地質学・考古
学研究の発展に大きな役割を果たした人物です。
本書は、「北京人類(北京原人)」の発見など、著者の研究成
果をまとめたものですが、それにとどまらず現地の様子や人々
の生活などのエピソードもちりばめられ、案外親しみやすい書
物です。訳も非常にていねいで、当時の書評などでも高く評価
されているようです。
さて、福沢は本書の刊行に先立つ1939年末、中国の山西省へ旅
し、そこで見た人々の生きざまを主題として《山西図》や《黄
土にすむ人》などの作品を制作しています。ですから、本書が
直接制作の役に立ったとは思われません。しかし、もともと人
類学や考古学に強い興味を抱いていた福沢にとって、本書は知
的好奇心をおおいに刺激したでしょうし、それが地域の地質学
や民俗学への関心を呼び起こし、『秩父山塊』(1944年)など
を執筆するときの参考にもなったのではないでしょうか。
戦後に中南米やオーストラリアへ旅した際などにも、福沢は専
門書を取り寄せて読み、かの地に関する知識を広く求めました。
絵画制作はつとめて知的な作業であり、知見を広め、深めるこ
とが画家には必要であると考えていた福沢の姿勢は、こうした
書物であふれる彼の本棚にはっきりとあらわれています。

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[4]
□ 賛助会員のお誘い

一般財団法人福沢一郎記念美術財団では、その美術振興活動を
より広範囲に、積極的にすすめるために、賛助会員を募ってい
ます。
一人でも多くの方に参加していただくことで、若い美術家の顕
彰、美術研究への助成など財団の活動が充実しますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。

◯賛助会員の区分と会費
(1) 一般会員 3,000円(年会費)
(2) 維持会員 30,000円(年会費)
(3) 特別会員 300,000円(永久会員)

◯特典
(1) 福沢一郎記念館入館料無料
(2) 福沢一郎記念館ニュース送付
(3) 記念館主催の催し物に優先的にご招待

◯会費のお振込先
●郵便局振替口座 00190-2-695591
 福沢一郎記念館
●りそな銀行 祖師谷支店 普通口座 1000201
 (一財) 福沢一郎記念美術財団

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.9
2015年6月16日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

福沢一郎記念館

【ホームページを移転しました】


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