【作品】 レオナルドによる雑考から / From memorandum by Leonardo da Vinci 1983年

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題名/title: 《レオナルドによる雑考から》/ From memorandum by Leonardo da Vinci
制作年
/date:
1983年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス / acrylic on canvas
寸法/size: 45.2×140cm
所蔵
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富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
Tomioka City Museum / FUKUZAWA Ichiro Memorial Gallery
  画面中央にはレオナルド最晩年の傑作といわれる《洗礼者ヨハネ》(1513-1516年、ルーヴル美術館蔵)、左端には《女の頭部》(1473年頃、ウフィッツィ美術館)、それら周辺には『アトランティコ手稿』などの素描にみられるさまざまなイメージが散りばめられている。《快楽と苦痛》などでは背景が褐色を基調としてつくられていたが、ここでは青や紫、黄などの鮮やかな色彩を配置しその効果を試している。なお本作品は同名の大作(1983年、190×600cm、学校法人箕面学園蔵)の習作と考えられる。

【作品】 快楽と苦痛 / Pleasure and Pain 1982年

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題名/title: 《快楽と苦痛》/ Pleasure and Pain
制作年
/date:
1982年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス / acrylic on canvas
寸法/size: 72.5×60.6cm
所蔵
/collection
多摩美術大学美術館
Tama Art University Museum
  1983年の個展(6〜29日、ギャラリージェイコ)の出品作。このとき福沢は、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品に触発され、そのイメージを引用した作品を多く描いている。《快楽と苦痛》は、レオナルドの素描《快楽と苦痛の寓意(Allegories of Pleasure and of Pain)》(1485-1487 年、クライスト・チャーチ・ピクチャー・ギャラリー蔵、オックスフォード)のイメージを、ほぼそのまま描いている。しかしよりボリュームのある人体になっているのは福沢ならではといえようか。黄と褐色の絵の具の、淀みや溜まりなど偶然うまれる効果を活かした背景は、紙上の雑然とした印象や古色を表現したものでもあり、また70年代末の、色彩を施した背景に線のみで描く試みの延長でもある。

【作品】 餓鬼のわるだくみ / Gaki’s evil devices 1973年

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題名/title: 《餓鬼のわるだくみ》/ Gaki’s evil devices
制作年
/date:
1973年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 179×227cm
所蔵
/collection
愛知県美術館
Aichi Prefectural Museum of Art
  1973年の個展「地獄への誘い」出品作37点のうち、餓鬼を描いたものは18点と、ほぼ半数を占める。このとき福沢にとって餓鬼は重要なモティーフであったようだ。本作では夜のように暗い空の下、妙に明るい大地に転がりながら、餓鬼たちが何かしら相談をしている。現代社会に生きる人々の愚かさや悲哀、そして滑稽さと親しみまでもが、この餓鬼たちに投影されている。

【作品】 樹海 / Forest 1948年

題名/title: 《樹海》/ Forest
制作年
/date:
1948年
技法・材質
/materials:
油彩・カンヴァス / oil on canvas
寸法/size: 194.0×259.0cm
所蔵
/collection
東京国立近代美術館
The National Museum of Modern Art, Tokyo
  日本美術会主催第2回日本アンデパンダン展出品作(1948年11月22日〜12月16日、東京都美術館)。終戦直後からこの時期まで福沢は裸の人間たちがうごめく群像を多く描いていたが、本作品には人間は登場しない。色彩と明暗の強烈なコントラストによって描かれた木々は、力強さとともにある種の不穏さを放つ。人間の不在によって人間へと迫ろうとしたといえようか。