【イベント情報】講演会「近代写真の成立と福沢一郎の写真」報告

展覧会 「福沢一郎の“写真” 画家のレンズが捉えたもの。」の関連イベントとして、講演会「近代写真の成立と福沢一郎の写真」が、5月14日(水)に開催されました。

講師の金子隆一さんは、東京都写真美術館で長く専門調査員・学芸員を勤められ、近代写真の専門家として活躍されているほか、写真集コレクターとしても有名な方です。今回の講演はまず「近代写真」の成立について、その代表的な作例の画像を見ながら解説し、続いて安井仲治、木村伊兵衛、小石清など1930〜1940年代日本の注目すべき写真家の作品についても述べたうえで、福沢一郎の写真について改めて考えてみる、という趣向でした。
近年のデジタルカメラの普及によって、写真というもの、またカメラという装置についても、随分認識が変わってきているように思います。金子さんのお話はそうした我々が陥りやすい誤解を解きほぐしつつ、写真についての認識を深めてくださるもので、眼から鱗が落ちることしばしば。
1924〜31年のパリ滞在中に撮影された、全くアマチュアであったはずの福沢の写真に、19世紀末から20世紀初めのパリで活躍したプロの写真家アジェのそれと共通するものを感じるとおっしゃる金子さんは、近代写真の先駆として神格化されているアジェについて改めて考えるよい機会になったと、福沢の写真との出会いを喜んでくださいました。また、近代日本を代表する写真家野島康三や平尾銈爾と、福沢一郎(福沢家)との意外な関係についてもお話いただき、一部関係者の注目を集めていました。

講演会の内容は今秋発行の『記念館ニュース』に掲載予定です。

201405014

(2014年6月5日)

【イベント情報】「舞台と美術家 —福沢一郎のバレエ美術を一例として」報告

展覧会 「CURIOUSな実験。福沢一郎<素描>の魅力」展  の関連イベントとして、講演会「舞台と美術家 —福沢一郎のバレエ美術を一例として」が、10月30日(水)に開催されました。

今回講師としてお招きしたのは、神奈川県立近代美術館学芸員の西澤晴美さん。造形芸術や音楽などジャンルをまたいだ芸術活動の研究がご専門で、特に戦後の日本を代表する総合芸術グループ「実験工房」のご研究は、最近の展覧会で注目を集めました。
西澤さんは、修士論文で福沢一郎のバレエの舞台美術を取り上げておられ、それがご縁となって、今回講演をお願いすることになりました。大正から昭和初期にかけての美術家たちの舞台への関わり、戦後のバレエブームとその舞台美術、そして福沢一郎が衣裳や舞台装置を手がけたバレエ「さまよえる肖像」の解説など、新鮮な切り口からの大変興味深いお話に、聴講者の皆さんは熱心に聞き入っていました。

講演会の内容は今春発行の『記念館ニュース』に掲載予定です。

kouen2013a01
講師の西澤さんをご紹介

kouen2013a02
講演中の西澤さん

(2014年4月8日)

【イベント情報】トークの会「福沢一郎 とっておきの話」報告

展覧会 「松浦コレクション とっておきの福沢一郎展」 の関連イベントとして、トークの会「福沢一郎 とっておきの話」が、5月8日(水)に開催されました。

トークの主役は、コレクター松浦英夫氏。記念館嘱託の伊藤佳之がトークのお手伝いをしました。
松浦氏は、20代から福沢一郎作品の収集を始め、福沢の画業を知るうえで欠かせない貴重な作品も多くお持ちです。今回は福沢作品との出会い、長きにわたる画家との親密な関係と、そのなかから生まれた数々のエピソードを、作品の画像を見ながらお話しいただきました。
楽しく刺激的なエピソードに、会場の皆さんも興味津々。あっという間に一時間半は過ぎ去り、終了後も松浦さんにお話を伺うかたが大勢いらっしゃいました。
トークの会の内容は今秋の『記念館ニュース』に掲載予定です。

2013_event_s01

(2013年7月16日)

【イベント情報】講演会「『形』と色彩の競演 − 福沢絵画の造形性」報告

展覧会 「福沢一郎 face 展」 の関連イベントとして、講演会「『形』と色彩の競演 − 福沢絵画の造形性」が、10月31日(水)に開催されました。

講師は山形大学地域教育文化学部准教授の小林俊介さん。日本近代美術史の研究者であり、また画家でもあります。技法の観点から日本近代の絵画に迫る意欲的な研究を続けておられます。
今回は、そうした研究手法から福沢絵画の「造形性」に迫る刺激的なものでした。特にルーベンスの作品における色相対比による明暗の描出が、福沢の作品にも活かされているという指摘などは、作家としての体質の類似をしばしば指摘されるルーベンスの作品に、福沢がよく学んでいたことを示唆するものでした。
戦前の日本画壇デビューの頃から最晩年までの主要な福沢作品を、小林さんはこの講演会のために直に調査されたとのことで、非常に細かく福沢の筆の動き、意図的な塗り残し、色の使い方などを分析された講演は、我々聴講者にとって、福沢一郎絵画の理解に新たな目をひらくものでした。講演会の内容は来春の『記念館ニュース』に掲載予定です。

(2012年11月19日)

【イベント情報】講演会「福沢一郎、最近の話題」報告

展覧会 「福沢一郎の『ニッポン』」 の関連イベントとして、講演会「福沢一郎、最近の話題」が、5月9日(水)に開催されました。

講師は群馬県立館林美術館館長の染谷滋さん。日本近代美術がご専門で、高崎の群馬県立近代美術館在職中には「生誕90年 福沢一郎展」「湯浅一郎展」「中村節也展」など群馬県ゆかりの画家の展覧会を担当されています。
今回は、2009年に群馬県立近代美術館で開催された「福沢一郎大パノラマ展」の企画裏話、現在同館にて公開中の大作《地痕》《かちどき》について、そして画家吉井忠の日記(『池袋モンパルナス』展(板橋区立美術館)図録所収)にみる福沢一郎のすがたなどについて、わかりやすくお話いただきました。

(2012年5月11日)

【展覧会】「60年代以降の福沢一郎絵画−放たれる色彩−」 10/15 – 12/1, 2008


《ヘラクレスと牛》 1970年



このたび、福沢一郎記念館では、秋の展覧会として「60年代以降の福沢一郎絵画−放たれる色彩−」を開催いたします。

1955年、アメリカで開発された水溶性アクリル絵具は、その使いやすさと発色の良さで、多くのアーティストに支持されます。
福沢一郎は、60年代後半から、このアクリル絵具を用いた制作を行うようになります。もともと色彩の強い対比を特徴としていた福沢絵画は、 この画材によってより鮮やかに、色の輝きを放つようになります。また時を同じくして、福沢の絵画は抽象から具象へと形態の描出を変化させていきます。 社会問題や神話、宗教説話、さらには人間存在そのものを描き出そうとする福沢の「主題絵画」の方向を決定づける過程で、アクリル絵具による鮮やかな 色彩の獲得という重要な出来事があったことは、画家福沢一郎の制作の変遷を考えるうえでとても興味深いものです。
今回は、こうした鮮やかな色彩の魅力がいかんなく発揮された60年代以降の福沢絵画をご紹介し、その魅力を存分に味わっていただく機会といたします。
ぜひお出かけください。

会 期:10月15日(水)〜12月1日(月)11:00-17:00 月・水・金開館
※ 11月3, 24日(月)は祝日ですが開館します。
入館料:300円


※講演会開催のお知らせ
「新発見の福沢一郎作品をめぐって」
講師:大谷省吾氏(東京国立近代美術館主任研究員)
日時:11月12日(水) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,000円
※要予約/先着40名様(FAXも可)

<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405 / FAX. 03-3416-1166