【展覧会】「福沢一郎のヴァーミリオン」展 会場風景

秋の展覧会 「福沢一郎のヴァーミリオン」展 の会場風景をご紹介します。

 

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記念館のメインウォールともいうべき青森ヒバの壁では、《闘牛》(1978)の大作がしっくりおさまっています。その右側には比較的小さいですが、同じ描法を用いたものを2点。「この絵を見るといつも元気が出るわ〜」とおっしゃるお客様も。

 

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白い漆喰の壁には、青い空と真っ赤な牛が印象的な《闘牛》を、ぜいたくに1点だけ展示しました。ちいさな作品ですが、力があります。
その上には《花と鳥》(1970)。春の「PROJECT dnF」で室井麻未さんが初めてここに作品を展示してくださったので、どうしてもこのスペースを使いたくなってしまいました…。
そして、西側の壁には最晩年の大作《卑弥呼》(1991)。輿に乗って群衆の中をゆく卑弥呼にスポットをあて、その存在を強調してみました。

 

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北側の壁には、1965年のニューヨーク滞在の頃に描かれた《争う男》。ハーレムの喧噪が赤で表現されています。その隣には、赤を多く使ったちょっと珍しい《ノアの洪水》(1970)。赤で描かれた人間たちのさまざまな姿にご注目ください。

 

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階段脇から小部屋へと向かいます。部屋の入り口では《食水餓鬼》(1972)がお出迎え。部屋に入ると、ピンクの服と大地、黄緑色の空のコントラストが印象的な《オーストラリアの砂漠にて》(1967)と、今回唯一の水彩作品《インディオの女》(1954)が右手に並んでいます。

 

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小部屋左手には《アダムとイヴ》(1958)と《鳥の母子像》(1957年)の50年代コンビ。ステンドグラスのような《鳥の母子像》も美しいですが、デコボコとした《アダムとイヴ》の渋い存在感もなかなか。もちろんどちらにも「赤」が効いています。

 

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資料展示のケースには、福沢一郎の本棚から、赤い本をチョイスして並べてみました。まず『独立美術3 福沢一郎特集』(1932)。この中には、1932年当時の福沢のパレットをうかがい知ることができるカットがあります。ゆるいイラストがたまりません…。
それから、福沢一郎著『エルンスト』(1939)と、大江健三郎著・福沢一郎装幀『死者の奢り』(1958)。後者は、大江の小説家デビュー作を収録した初の単行本。この原画は今どこにあるのでしょうか? いつか巡り会えたらいいなと思います。

 

「赤」にこだわって選び抜いた作品たちは、それぞれ強い輝きを放っていますが、ただ単に派手というわけではなく、むしろ空間にしっくりとおさまって、画題や時代ごとの描き方をくっきりと浮かび上がらせています。
ぜひ、たくさんのかたにご覧いただきたいです。

 

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福沢一郎記念館は、展覧会会期中の日、月、水、金の開館となります。
皆様のお越しをお待ちしております。
展覧会詳細は、→こちらから。