【展覧会】発掘!福沢一郎 120年めの「再発見」 5/24 – 6/24, 2018

 

このたび、福沢一郎記念館(世田谷)では、春の展覧会「発掘!福沢一郎 120年めの『再発見』」を開催いたします。
当館は開館以来24年にわたって、画家福沢一郎とその作品を紹介する展覧会や講演会、定期刊行物の発行など、さまざまな活動を続けてきました。福沢は昭和初期に前衛絵画の牽引役として活躍し、「シュルレアリスム絵画の紹介者」という美術史上の位置づけが、彼を語ることばの中で大きな意味を持ち続けてきました。
しかし、福沢の画家としての活動はひととおりではなく、いわゆる「シュルレアリスム絵画」の前後にも興味深い制作を数多く遺しています。その後現代絵画の旗振り役としての役割から脱し、神話や歴史物語の世界を多く描くようになってからも、今なお輝きを放つ作品を数多く生み出しています。
福沢一郎生誕120年を迎える2018年春の展覧会は、多様な福沢作品の魅力を改めて「発掘」し、その多彩な輝きを作品・資料の展示によってご紹介します。
この機会にぜひごらんください。

 


《海辺》1929年 油彩・キャンバス 個人蔵

 


《農耕》1946年頃 キャンバス

 


《無題(ハワイの女)》1980年代 アクリル・キャンバス

 


《花(イラン デザート ミラクル)》1990年 キャンバス

 


会 期:2018年5月24日(木)〜6月24日(日)の木・金・土・日開館
12:00-17:00
入館料:300円

※講演会開催のお知らせ
「〈世界〉という構造ー福沢一郎の場所」
講師:沢山 遼 氏(美術批評家)

◎終了しました 多数のご参加ありがとうございました◎

——–

シュルレアリスムにおけるコラージュ(デペイズマン)とは、従来それがあった場からイメージを奪い去り、それを別の場に移動させ、未知のイメージとイメージを遭遇させることである。大戦間の極度に緊迫した社会情勢のなか、マックス・エルンストの絵画を通じて、福沢一郎は、こうしたコラージュの技法に、徹底的にリアリスティックな力学的諸関係を見出した。なぜなら、コラージュにおいては、イメージの場の移動が、イメージ相互に構造的な落差、偏差をもたらす。それゆえコラージュの実践は、さまざまな落差や偏差をもつ社会構造や権力構造の分析に直結する。ともすると福沢は、オリジネーターであるエルンストよりも明晰にそのことに気づいていた。
そして福沢一郎は旅する人だった。彼自身が、彼のイメージと同様に、移動する存在だった。福沢は、パリ、満州、ニューヨークのハーレム、メキシコ、ギリシャなど、世界の各地に出かけ、その旅行のたびに、自らの絵画を大きく展開させた。それは、世界に存在する構造的な不均衡や亀裂、矛盾が、彼の絵画にその都度大きな意味を与えたことを示している。福沢はそのような場に、人間的諸関係がむき出しになった神話的世界を見た。そして実際に、神話を描いたのである。そこに認められるのは、純粋化する近代絵画の理念に逆らうように、世界が構造的に抱え込んだ葛藤や亀裂を捉えようとする福沢の姿である。不和と分断が強まる世界において、福沢の絵画は古びるどころか、ますます力強さを増している。
本講演では、生誕120年を迎え、東京国立近代美術館での大規模な回顧展も控える福沢一郎の芸術を再考してみたいと思う。

日時:6月10日(日) 14:00〜15:30
場所:福沢一郎記念館
会費:1,500円(観覧料込)