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このたび、当館では、「福沢一郎・再発見」シリーズの第2弾として、春の展覧会「福沢一郎、『本』の仕事と絵画」展を開催いたします。
読書家であった福沢は、芸術や文学のみならず、地学や考古学、民族学など、じつに幅広い書物を渉猟しました。読書によって得た知見や発想は、絵画作品の重要な主題となるほか、自らの著書に活かされることもありました。
また、彼は画業の初期から晩年に至るまで、多くの装幀や挿絵を手がけました。これらの仕事には、タブローでは成し得ない表現を追究する画家としての矜恃と、書物を愛する穏やかな心持ちが共存しているように感じられます。
今回の展覧会では、これまでまとまって紹介されることのなかった、福沢が手がけた装幀本と挿絵本、およびその原画やデザインを、同時代の作品とともに紹介し、その制作のエッセンスにせまります。
また今回は、1944年刊行の著書『秩父山塊』を取り上げた特集コーナーを設け、本書のなかで実際に使われた挿絵原稿や、地学の知識のもととなった専門書などを展示します。紀行文としても、画集としてもすぐれた本書の魅力を、存分に楽しんでいただけるものとなるでしょう。この機会にぜひごらんください。
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左:『福沢一郎画集』1933年 右『秩父山塊』挿絵 1943年頃
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『アマゾンからメキシコへ』写真ページ 1954年
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左:大田洋子著『屍の街』1948年 中:大江健三郎著『死者の奢り』1958年 右:雑誌『自由』1970年9月号
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《習作》1975年頃 アクリル・板
会 期:2017年5月12日(金)〜6月19日(月)の日・月・水・金開館
12:00-17:00
入館料:300円
※講演会開催のお知らせ
「もうひとりの福沢一郎―画集『秩父山塊』にみる科学者の眼」
講師:本間岳史氏(地質学者、元埼玉県立自然の博物館館長)
日時:5月24日(水) 14:00〜16:00
場所:福沢一郎記念館
会費:1,500円(観覧料込)
※要予約、先着40名様(電話・FAXにて受付)
<お問い合わせ:お申し込みはこちらまで>
TEL. 03-3415-3405
FAX. 03-3416-1166