メールマガジン第1号(2014年10月17日発行)

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.1
FUKUZAWA Ichiro Memorial Museum
– Setagaya,Tokyo
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□■□ 現在当館は閉館中です □■□
■□■ 次の開館は11月です ■□■

[1] 予告! 2014年秋の展覧会
[2] ココで観られる福沢一郎作品
[3] コラム 福沢一郎の書架から(1)

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[1]
□ 予告! 2014年秋の展覧会
開館20周年記念
「福沢一郎と山下菊二 師弟は時代とどう向き合ったか」

http://fukuzmm.wordpress.com/2014/10/02/fukuz_kikuji_2014a/

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骨太な造形力と旺盛な批判精神によって、人間のすがたを描き
続けた福沢一郎。社会や制度の矛盾を凝視し、その奥底にある
ただならぬ世界を描き出した山下菊二。日本の近現代美術を語
るうえで欠かすことのできないふたりの画家のあいだに、とて
も深いつながりがあったことは、案外知られていないのではな
いでしょうか?
福沢は1936(昭和11)年に「福沢一郎絵画研究所」を開設し、
後進の指導にあたりますが、山下はここに19歳で入門します。
以来山下は福沢を師と仰ぎ、事あるごとに福沢を訪ねています。
ふたりの関係はどんなものだったのでしょう。また、山下が福
沢から学んだものは何なのでしょう。今回はそれを、時代と向
き合う姿勢、あるいは時代を見つめる眼に着目し、それぞれ5
点の作品と関連資料によってさぐってみようと思います。
当館の開館20周年を記念しておこなわれるこの企画、福沢一郎
以外の画家の作品が当館で初めて!展示されます。ふたりの作
品によって、刺激的な場が生まれることでしょう。
ご来館をお待ちしております。

会 期:11月2日(日)〜30日(日)の日・月・水・金・曜日
    午前11時〜午後5時
観覧料:300円
協 力:日本画廊

☆トークの会「福沢一郎と山下菊二 いま語る・その実像」☆
日 時:11月16日(日)午後2時〜3時30分
話り手:江川佳秀(徳島県立近代美術館 学芸調査課長)
    伊藤佳之(当館非常勤嘱託)
会 費:1,500円

山下菊二の作品・資料を多数所蔵する徳島県立近代美術館で、
長らく山下の調査・研究に携わってきた江川さんと、福沢一郎
の研究者である当館の伊藤が、それぞれの画業とふたりの関わ
りについて語ります。

※要予約、11月2日から受付開始、先着40名様。
 お申込みは電話のみにて承ります。 03-3415-3405 まで。

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[2]
□ ココで観られる福沢一郎作品
《装へる女》 1929年 @富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館

遺族のもとで長らく保管されていたこの作品は、おととし同館
に寄贈され、昨年の修復を経て今回の展示となりました。
第16回二科展(1929年)の入選作であり、当時の美術雑誌にも
図版が載っています。福沢一郎の、日本洋画壇デビュー作のひ
とつともいえるこの作品、青みがかった女性の肌といい、左右
対称のポーズといい、背景の処理といい…ちょっと不気味で、
ちょっと不思議な作品です。
画面右下には「Fouk. -27(29?)/福沢」という記載があり、
サインにアルファベットと漢字の両方が使われているのが面白
いですね。
今年11月3日まで展示予定とのこと。お見逃しなく!

富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館 「現在の展示」に
画像があります。
http://www.city.tomioka.lg.jp/www/contents/1000000001919/index.html

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[3]
□ コラム 福沢一郎の書架から(1)
 福沢一郎著『秩父山塊』アトリエ社 1944(昭和19)年

第1回めが福沢自身の著書で恐縮なのですが、最近話題の本な
ので、ぜひここで紹介させてください。
本書は、タイトルのとおり埼玉県秩父地方の紀行文と挿絵で構
成されています。終戦の前年の刊行ですから、物資統制厳しき
折、このような贅沢な本の刊行は大変だったことでしょう。
元埼玉県立自然の博物館館長の本間岳史さんによれば、福沢は
秩父地方を旅行するにあたって「地域に関する地質論文等をよ
く読み(中略)場所によっては自分なりに地質学的な疑問や課
題を設定してから現地を訪ねている」とのことで、参照した当
時最新の論文なども特定されています※。
地質学者も驚嘆するほどの知識を持ち、秩父の自然を鋭く観察
した福沢の科学的な視線が本書にはよくあらわれていますが、
地域の人々の暮らしに向けたまなざしや、故郷富岡に寄せる思
いも、文章のはしばしに見受けられます。そうした文章を読み
ながら、素早い筆致で描かれた秩父の風景をみていくと、ひと
り思索にふけりながら歩みをすすめる画家のすがたがじんわり
と頭に浮かんでくるようです。
戦時下の厳しさも一抹のほろ苦さとなって本書に味わいを加え
ており、さまざまな楽しみ方ができる一冊といえましょう。
当然のことながら、オリジナルは古本でしか手に入りませんが、
1998年に池内紀さんの「ちいさな図書館」シリーズで復刊され
ているので※※、手軽に、しかもコンパクトなサイズで読むこと
ができます。
美術ファンのみならず、山歩き好きな方や紀行文をよく読む方
にもおすすめの本書。ぜひ一度手にとってみてください。

※本間岳史「画家・福沢一郎と地質学ー画集『秩父山塊』からー」
『地学教育と科学運動』72号 地学団体研究会 2014年6月
※※ 池内紀編・解説『福澤一郎の秩父山塊』〈池内紀のちい
さな図書館〉 五月書房 1998年

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福沢一郎記念館 メールマガジン No.1
2014年10月17日発行
編集・発行 一般財団法人 福沢一郎記念美術財団

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