【作品】 陽なたの観衆 / Audience in a sunny place 1978年

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題名/title: 《陽なたの観衆》/ Audience in a sunny place
制作年
/date:
1978年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 181.8×227.3cm
所蔵
/collection
福沢一郎記念美術財団 / FUKUZAWA Ichiro Memorial Foundation

  福沢は闘牛場の中だけでなく、その観衆にも目を向けた。じりじりと太陽が照りつける陽当たりのいい席でうごめく人々の熱気は、白地に黒の描線というシンプルな方法で、画面に大胆に焼き付けられている。

【作品】 闘牛 / Bullfight 1978年

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題名/title: 《闘牛》/ Bullfight
制作年
/date:
1978年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 181.8×227.3cm
所蔵
/collection
 

  真っ赤な画面に黄色や緑、灰色がアクセントとしてちりばめられ、そこに闘牛の一場面が描かれている。彼曰く「線の面白味を生かす事を主にして」いるため、黒い描線で力強く描かれた闘牛士や牛じたいに彩色が施されることはほとんどない。赤を基調とした画面作りは闘牛の連作の特徴であり、闘牛場の熱気や迫力を想起させるものである。

【作品】 プラカードを持つ女 / Woman with a Placard 1965年

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題名/title: 《プラカードを持つ女》/ Woman with a Placard
制作年
/date:
1965年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス / acrylic on canvas
寸法/size: 97.0×130.3cm
所蔵
/collection
群馬県立近代美術館
Museum of Modern Art, Gunma
  福沢は約三ヶ月間のニューヨーク滞在の間、カメラを片手に町の様子を観察し、写真を撮っては制作に活かしている。彼の写真にはハーレムの古びた建物を写したものが多く、特に非常階段が不格好に張り付いた建物の側面に興味を持っていたことがわかる。本作品にも非常階段のある背の高い建物が、プラカードを掲げる女性と対になるように描きこまれている。

【作品】 憂川(ダンテ神曲地獄篇による幻想より) / Sorrowful Stream (Fantasy from The Inferno) 1946年

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題名/title: 《憂川(ダンテ神曲地獄篇による幻想より》
/ Sorrowful Stream (Fantasy from The Inferno)
制作年
/date:
1946年
技法・材質
/materials:
油彩・カンヴァス/oil on canvas
寸法/size: 45.3×52.8cm
所蔵
/collection
板橋区立美術館
Itabashi Art Museum
  「憂川」とは、ダンテ『神曲・地獄篇』における「三途の川」アケロンテのことと思われる。戦後の混沌とした世相をかの文学作品からの幻想として描くシリーズは、1946年12月の日動画廊の個展において発表され、彼の健在をアピールすることになった。

【作品】 世相群像 / Group of figures in the postwar days 1946年

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題名/title: 《世相群像》/ Group of figures in the postwar days
制作年
/date:
1946年
技法・材質
/materials:
油彩・カンヴァス/oil on canvas
寸法/size: 130.3×162.1cm
所蔵
/collection
富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
Tomioka City Museum / FUKUZAWA ICHIRO Memorial Gallery
  終戦の翌年に描かれた大作。画面中央の瓦礫の山のような構造物を軸として展開するパノラマ的な画面構成は、戦争画を描くなかで会得したもののようである。画面下辺の白髪で眼鏡をかけ、真っ白な書物を持った人物は、戦時中に自由な思想・表現を奪われた文化人、あるいは福沢自身の姿か。

【作品】 トイレットペーパー地獄 / Toilet Paper Hell 1974年

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題名/title: 《トイレットペーパー地獄》/ Toilet Paper Hell
制作年
/date:
1974年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 181.8×227.3cm
所蔵
/collection
群馬県立近代美術館
Museum of Modern Art, Gunma
  日本と西洋の地獄を描いた福沢は、同時に現今の世情と地獄図を重ねる。本作品は1973年の第一次オイルショックの際、トイレットペーパーの買いだめに走る人々を揶揄したもの。「(本作品では)尻ふき紙の欠乏で狂奔した人達をえがいたが、こんなことが再び起こるかも知れない昨今である。その際諷刺は一層痛烈なものになる筈だ」と彼自身が述べるとおり、シニカルで諧謔味たっぷりな、福沢の本領が発揮された作品である。

【作品】 闘牛 / Bullfight 1978年

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題名/title: 《闘牛》/ Bullfight
制作年
/date:
1978年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 181.8×227.3cm
所蔵
/collection
富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
Tomioka City Museum / FUKUZAWA Ichiro Memorial Gallery
  1978年夏、福沢はスペインに旅行して闘牛を観覧し、帰国後そこで得たイメージをもとに制作する。当時の雑誌記事で「この頃何やら獣性なるものに執着を覚える」と語る彼は、筋骨隆々とした牛の姿に強い興味を持ち、太い線で力強くその躍動を描いた。

【作品】 花 / Flowers 1938年

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題名/title: 《花》/ Flowers
制作年
/date:
1938年
技法・材質
/materials:
油彩・カンヴァス/oil on canvas
寸法/size: 116.7×80.3cm
所蔵
/collection
多摩美術大学美術館
Tama Art University Museum
  1938年頃、福沢はそれまでの特徴である太い描線と単純な画面構成から、穏健な筆触と奥行きのある舞台装置のような構図へと作風を変化させてゆく。それは戦争、そして思想・表現への弾圧の激化と呼応するようである。また、この頃の作品にみられる植物の描写から、マックス・エルンストの同時代の作品に再び影響を受けたのではないかと考えることも出来る。茫洋とした空虚な風景は、言い知れぬ不安を誘う。

【作品】 自由か死を / LIBERTY OR DEATH 1965年

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題名/title: 《自由か死を》/ LIBERTY OR DEATH
制作年
/date:
1965年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス / acrylic on canvas
寸法/size: 97.0×130.3cm
所蔵
/collection
  1965年の春、福沢は長男夫婦の滞在するシカゴ近郊の町を訪れたのち、ニューヨークに滞在して取材・制作をする。彼が注目したのは、きらびやかで洗練された大都会ではなく、ハーレムに住む貧しい人々の姿であった。折しも当時アメリカではアフリカ系住民の公民権運動が盛んで、福沢は彼らの抗議行動やアピールに目を向け、その様子を制作に取り入れていった。

【作品】 牧神とニンフ / Pan and Nymphs 1970年

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題名/title: 《牧神とニンフ》/ Pan and Nymphs
制作年
/date:
1970年
技法・材質
/materials:
アクリル・カンヴァス/acrylic on canvas
寸法/size: 227.3×181.8cm
所蔵
/collection
群馬県立近代美術館
Museum of Modern Art, Gunma
  ギリシャ神話にあらわれる牧神やケンタウルスなどの「半獣人」を、福沢は好んで描いている。愛嬌を振りまき、エロティックな振る舞いをし、また時に凶暴なさまも見せる彼らのすがたを、福沢は「たまらなく描写欲をそそる」ものだと述べている。青く抜けるような青空のもと、神話の世界の住人は、奔放に自由に、力強く生きているようだ。