【展覧会】モノクロームの福沢一郎 カラリストは「黒い幻想」にむかった  5/8 – 6/7


このたび、福沢一郎記念館(世田谷)では、展覧会「モノクロームの福沢一郎 カラリストは「黒い幻想」にむかった」を開催いたします。

 福沢一郎の描く絵画作品は、鮮やかな色彩が大きな特徴といえます。彼が画家として本格的に活動し始めた頃から、その色彩はつねに注目されてきました。1950年代の「中南米シリーズ」や、1965年のニューヨーク滞在時の作品、そして1970年以降の神話や聖書の物語を描いた作品群には、カラリスト(色彩画家)としての福沢の個性があふれています。
 しかし、彼がただ一度だけ、モノクロームの世界を探求したことがありました。
 1959年から62年にかけてあらわれる「黒い幻想」シリーズや「白亜紀の幻想」シリーズがその探究の成果といえます。
 ただ、この時期に鮮やかな色彩で描かれた作品がないわけではなく、むしろ色鮮やかな作品と、モノクロームの作品が、同時並行で制作されていたのです。
 彼はなぜ、モノクロームの絵画表現を追求したのでしょうか? また、このひとときの模索は、その後の彼の制作にどのような影響を及ぼしているのでしょう?
 本展覧会は、こうした謎を読み解き、これまであまり光の当たらなかった彼の制作を改めて検証する試みです。「黒い幻想」と「白亜紀の幻想」シリーズの作品を展示するほか、こうした制作に挑む前年、ヨーロッパを旅行した際に彼が撮影した街角の壁ばかりを撮影した写真や、「デコラ板」とよばれるメラミン化粧板を使った珍しい作品、そして未発表のものを含む資料類を紹介し、さまざまな角度から「モノクロームの福沢一郎」に迫ります。この機会にぜひご覧ください。


《白亜紀の幻想》 1962年

《雪男》 1959年

ヨーロッパ旅行の際に撮影された壁の写真 1958年

会 期:2025年5月8日(木)― 6月7日(土)の
    木・金・土曜日 13:00 -17:00(入館は16:30まで)
観覧料:300円